※この記事は、8月5日 児玉龍彦(東大先端研教授)×津田大介(ジャーナリスト) @現代ビジネス【その①】の続きです。

(児玉氏)普通の例えば技官とか職員の人は絶対にできない。
(津田氏)これもある意味でいうと、役人はそう答えるしかないということなんでしょう。
(児玉氏)だって役人には法律違反しろって言ってる自分が、「これは申し訳ない」と思った。
(津田氏)でも、ただそういうことを言っていられない事態なんだから、迅速にいろんなものを変えていかなきゃいけないのに、それが・・・
(児玉氏)それで、誰が悪いのかと思ったら・・・
(津田氏)それは国会に行き着きますよね?
(児玉氏)僕はそのことをちょろっと他のに書いていたら、すぐに知ってる人がいて、阪神淡路の時は、3ヶ月で23本特別立法ができたというツイッターをどこかで読んだ。だから、法律の方ももっと自分たちが何が出来るか考えていただきたい。
とにかく今は、早くやるために今までの法律より上位の法律がないと駄目です。だから、皆が集まる委員会を作って、もう一つ、予算を省庁に落とすのは駄目。省庁とか個別の目的だと、例えばお米の予算は年にこれくらいってるじゃないですか。その中から放射能に関わる予算を出そうとしてもまず無理。先に放射性被害に「国としてこれくらい使います」っていうのを決めて、その中でやる。だから上位の委員会、上位の法律の決定というものがないと。
さっき「なんで出来ないのか?」と言われて、それともう一個大きいと思うのが、ノウハウが皆、民間にある。
(津田氏)コアの官・民のうちに官にノウハウが溜まってない?
(児玉氏)大学にはそんなにないんじゃないか?
(津田氏)ちょっと問題発言では?(笑)
(児玉氏)いや、大学っていうのは基礎的なものをやるので、例えばこれは空間線量が出ているが、これもちょっと・・・
(津田氏)確かに国会でもこういう民間企業にあるからそれを生かしてやっていけばということをおっしゃっていましたよね。
(児玉氏)これ、例えば我々のところでの空間線量、この組織の場合は、アイソトープ総合センターは自分でできるが、ここではチヨダテクノルというところに頼んで。だって月1回やるのに、人を雇う必要がない。そうすると、そればっかりやっている業者がいる。そしたら、世界も詳しいしどの機械がいいかとか皆持ってるから、そういうところをフルに活かさないと。
例えば、国の研究所だとか、大学ももちろんお手伝いするしいろいろ言うが、実践的に役に立つのは、こういう業者を雇って、その人たちのノウハウを全部引き出さないと駄目。
だから政府の委員会で全部やるなんて全然・・・
(津田氏)本当の意味での産・官・学がちゃんと連携して・・・
(児玉氏)だから、国民の中で「我々はこういうのを持っている」って、経団連とかもっと頑張ってほしい。
(津田氏)そういうところで、民間の経済の側がそういう国とか官とかに対してももっとプレッシャーをかけて「これ進めよう」とか・・・
(児玉氏)一般にこういうことを言うと、僕のほうにもメールがいっぱい来て「お前は東大のアイソトープセンターに金がほしいんだろう?」
(津田氏)そういう批判はネットでも結構ありますね。
(児玉氏)いっぱい出てますから、もちろん僕らも研究費ほしくていろいろやっているけれど、それと今回はちょっと違う意味で申し上げているので、そこはご理解いただきたい。本当に技術を持っている人は技術出してほしいというところを、かんぐっていろいろやるのもいいけれども、もっと前向きにやっていくところがないと、見方が・・・・
(津田氏)ある意味で言うと、政府と民間の交流等がスムーズに行くためにも、上位の法律とかを作る必要もあるし、そのためにバンバン立法などをやっていかなきゃいけないけれども、国会はくだらないことやってて、それが最後のほうの「7万人が家に帰れない状況にあるのに国会は何をやっているんですか?」という先生の怒りに繋がっているんですね。
(児玉氏)もう一個大事なのは、国がやんなくちゃいけないことが一箇所だけある。
「プラットホーム作り」
というのは、例えば栗田とか水の会社。それから、チヨダテクノルは放射能の会社。竹中工務店だったら、土木事業。だけど、栗田に放射線やってる人がそんなにいるか?チヨダに水の洗浄は得意か?土木得意かな?とか。こういう個別、なんていうか企業は自分の強いところはあるが、今回の福島原発の問題解決にプラットホームがあるかと思うと、ないと僕は思っている。
公でいろんな企業が参加して、うまくみんながいけるようなプラットホームを作らないと、企業は自分のノウハウをあげてしまったら終わり。だから個別企業にはできないことなので、そういうプラットホームを作るところを一生懸命やんなさいと。
(津田氏)企業のいいところがどんどん・・・
(児玉氏)ある程度それはちゃんと使われるという信頼感。公共性を持っているところが、だから研究センターと言っているのは、早く作って。だってホントに除染始めるっていうとすごいお金が掛かるのに、「住民に判断しなさい」って言われても、「え?」って。
客土って言って埋めてしまうのがいいのか、それとも科学的にセシウムを除去するのがいいのか、それともファイトレメディエーション(phytoremediation)で植物をやるのがいいのか、福島で実際に早くやって、パイロットデータを出して、だから、二つやらないと住民判断できないと思う。
一つはGoogle Radiationじゃないけど、マップを詳細に作って、自分の地域はどれくらいかとか、市役所ごとにすぐやる課があって、放射線測定110番があって、「うちはどの程度の線量で大丈夫でしょうか」っていうのを。だから地域がどれくらいで自分の家がどうかということを知りたいじゃないですか。
もう一つは、この方法はどのくらいお金がかかってどれくらい取れますっていうデータが出ないと、今のままで言ったら、皆、利権付き公共事業にしかなんないんじゃないかって心配してる。
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(津田氏)公共事業にしないためにセンターを作るって児玉先生が・・・
(児玉氏)センターでやるのは実証実験。
(津田氏)プラットホームとセンターは同じ?
(児玉氏)一緒。だから、そういうところにBest&Brightestを集めて、夢を持って、大変なんだけど。
(津田氏)事業とかではなくて、それぞれの企業の得意なところがセンターに出向して集まってくると。
(児玉氏)集まって、いろんな方法を競争させる。こっちだったらこれくらい、こっちだったらこれくらい綺麗になる。お金はこっちが掛かりすぎるけど、もっと圧縮できないか、場合によっては混ぜたらいい。田んぼはこっち、畑はこっちで、住宅はあれがいいとか、そういうことをどんどんやりなさいと。
(津田氏)そこには科学者とか技術者の良心で、この目的に集まってくれと?
(児玉氏)はい。もしくは、儲けようとする企業でもいい。
(津田氏)なるほど。結果的にそれが繋がれば
(児玉氏)そう、それをきちんとやるのに。もしくは、実際の事業は地元の土建業者がやってもいい。設計と施工とよく建築だったらわかれるように、そういう設計のできるところを早く・・・。
(津田氏)そうですよね。そこでセンターで画期的な除染方法が生まれたら、それを地元の土建業者に「これでやってね」って、また雇用が生まれたりとか・・・。
(児玉氏)そういう仕組みを早く作ってほしい。先ほどおっしゃっていたように、何でうまくいかないんですか?というと、そういう問題を解決していくようなビジョンを持って、どんどんやる人が出てこないと。
 やっぱりこういうのって多分ソリューションの技術だと思う。だから、要素技術の会社はいっぱいあるけど、ビルゲイツが??を作ったり、ジョブスがiPhone作ったり、これってフロンティアに入る、フロンティアなんだけど、全くすごいのではなく、今までのものをいろいろ組み立ててビジョンを持って、住民のために働いていくような夢を力を持った若い人がみんな来てほしい。人のことを悪く言うのはいいけれど、自分ができるという本当の熱意ある人に集まってほしい。それが一番夢ですね。
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<30:00->
(津田氏)国会で参考人で出られて終了した後、議員の先生方が来ていろいろ話をされたりしたんですか?
(児玉氏)やっぱり反応早いところは、政策にしたいから来てくれっていうところもあるけれど、そこは小さい新しいところ。でもね、僕が思うには、別に私なんかじゃなくてもいいと思っていて、むしろ、こっちはこっちで今の自分のガンの薬を作るというアイソトープセンター長とか南相馬の除染とか、もう目一杯だから、むしろ政策どんどん使って、皆でやってほしい。
(津田氏)先ほど児玉先生がそういうセンターというプラットホームという大きいものを作る。ビジョナリーみたいな人が必要だと言う話だったが、それは政治家がなるべき?それとも役所の中にいていいのか、それとも全く違う人がいいのか?どういう人が適任とか、この人がなればいいんじゃないかみたいなアイデアはあるか?
(児玉氏)何でもいいんじゃないですか?というのは、僕らは複雑系やってると、蔵本さんっていう人が京都にいて、この人が複雑系の一番大事な人。蔵本さんがよく言うのには、
「世の中は複雑でよく判らないが、極端な状態になると本当のものがわかる」
だから、エントロピーっていうのも水をいくら見ててもわからないで、4度から99度まで見ててもわからないけど、99度から100度になるって水が水蒸気になるとき初めてエントロピーって判る。
だから、こういう福島原発事故みたいな事故が起きた時に、
(津田氏)まさに極端な状態ですね。
(児玉氏)極端な状態だから、ビジョナリーはきっと若い人の中で出てくるんじゃないかなっていう夢を持っている。津田さんがビジョナリーになってくれないかな?
(津田氏)あー、それは難しいかもしれないですけど(笑)
(児玉氏)なってくださいよ。
(津田氏)なるほどね。その例えはすごくわかりやすい。その中で出てきた中で、その注目している中で、そういう動きみたいなものが出てくるのでしょう。
 さっきの細かい話に戻ってしまうが、所謂まだまだいろんな南相馬からなにかr、実際に住んでいる所で自分の線量がわからなくて困っている、気になっていても、まだガイガーカウンターを手に入れられなくて困っている人もすごく多いと思うが、そういった一般の市販のガイガーカウンターのようなものと、児玉先生がさっきおっしゃっていたイメージングベースの測定器で正確性とか価格とか用途はどう違う?
(児玉氏)全然目的が違う。今言っていた、今だって人間が住んでいるわけじゃないですか。だから自分の家がどうかとかは、普通の線量計、ガイガーカウンタでも何でもいいから、これはすぐやる課みたいな話しで、クラシアンみたいに、企業名言うと怒られちゃうけど、電話掛けたらすぐ来てくれるみたいな人がいないと、心配じゃないですか。そういうところは、自治体やなんかに、いろんな自治体の首長さんに相談して今進めているが、とにかく5人くらいでいいから、すぐ測る課を作って、電話が掛かってきたら飛び出していって、30分で見て、1台貸してあげるみたいなものをやったらいいんじゃないか。大体、僕のところに一杯メールが来ている。
「私は東京の大学生だけど、白河に戻って実家に姪御がいる。法律勉強しているが、なんとか戻って測りたいが、機械はどれがいいですか」とか聞いてくるメールが来る。
「自治体に相談したら」と返信すると、
「自治体は全然相談にのってくれない」というところが多い。
だけど、白河のHP見てみると、各小学校なんかは、非常に綺麗に測っていて、パワーを持って一生懸命走り回っているんですよ。だから自分は走り回っていて大変だから、「個々の家は自分でやってくれ」ってつい答えたくなっちゃうんでしょうけど、その代わりにコールセンターを作って、一生懸命教育した人を置いて、5人でも10人でもまずぱっと走りに行くのは・・・
(津田氏)それは、各自治体に任せるのではなくて、政府が、そういうことは消費者庁でもいいかもしれないが、全国のコールセンターを作って、適切にガイガーカウンタを・・・
(児玉氏)やってもいいけど、やっぱり僕は自治体だと思う。それで、もう一つは、相談、測定って除染と繋がる。だから、繰り返し相談できないと駄目。すぐいけないと駄目。
(津田氏)そこの相談窓口、除染と一体化して・・・
(児玉氏)だから、ここの測定の窓口が緊急の除染にも繋がっていくし、細かいマップを作っていく作業を下から担っていく。だから、あそこの家のまわりはここが怪しいということがわかると、実はその下に側溝があるとかはよくある。
例えば、高速を走っていて、二本松インターで降りると、料金所あたりでビーッとなる。それで料金所のあたりが何で高いかというと、料金所をでて脇に行くと、そこに側溝があって、そこがビーッとなる。
だから、思いがけずここが大変だということがわかったりする。そういう意味で危ないところ、子供が近寄ってはいけないとか、結構情報がさっき言ったコールセンターでいろんなところに行って、それを地図にはめ込んでいけば、さっきの今度は地で這うようなGoogle Streetみたいなものが出来るんじゃないか。
(津田氏)それを一定の教育なり知識を持った人が定期的に測って、除染なんかもしていく・・・
(児玉氏)そういう教育をどんどんやって、だけどそういうのはさっき僕は???と言ったけれど、やりながら覚えていくとどんどん深まっちゃう。だから、南相馬の教育委員会の人たちは、今では僕らよりよっぽど現実的で、やっぱり自分たちの生活がかかっているから、毎日見てるし、立派な方がいっぱいいらっしゃる。どんどん人間は1ヶ月で見違えるように変わる。
(津田氏)南相馬は僕も何度も行っている。ものすごく他から隔離されて見捨てられたところ。だからこそ自分たちでなんとかしようという意志の力を感じる。南相馬で児玉先生が除染活動されていて、除染について伺いたいが、除染の適切な方法とか、高圧洗浄機でやっていたりするが、あれでいいのか?
(児玉氏)除染って二つに分けていただいて、まず、その前に南相馬の一般的な状況をご理解いただきたい。
 南相馬は結局、海のほうは津波ですごい。500人亡くなって、まだ20km圏のところは立ち入り禁止だから、行方不明の方も結構いらっしゃる。だから、ご遺体捜したりも大変な地域。こっち側は飯舘村と近い。
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(津田氏)山のほうは線量高いんですよね
(児玉氏)ええ。だから山のほうはすごく線量が高い。地震と津波と放射線。こっちは原発に近いし。
(津田氏)もともと綺麗に一番南が穂高で、真ん中が原町で、すそが羽島、この3つが一緒になったんですね。
(児玉氏)ところが、この辺線量低いんですよ。だから、例えば東大の柏キャンパスがあるが、そこより低いところもある。
(津田氏)南相馬は確かに低い。
(児玉氏)海側のほうは。だから、全然、さっきのGoogle Radiation Mapじゃないけど・・・
(津田氏)同心円は本当に意味がない。
(児玉氏)それで、一番困ってしまうのは、ここら辺から毎日小学生がこっちへ100万円かけて1700人が移動されているが、そっちのほうが線量が高い。
(津田氏)意味ない。無駄ですよね。
(児玉氏)何のためにやっているかというと、唯一残っている同心円上のあれを結局東電と政府の話で参議院の委員会で強制避難のものは今すぐ払うが、それ以外は後回しにしちゃってるから、補償問題と絡んでくる。それはもう辞めて、補償問題の中で強制区域の解除というのを、補償問題とは切り離すと言ってしまえばいいと思う。それはすぐやらないといけない。
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それで次に除染の問題に入るが、除染の問題っていうので、一番心配なのは、結局口に入ってしまうこと。小さい子、幼稚園児だとか、こういうところは降りてくると、こっちかこっちで、線量が違う。滑り台を降りてきて子供が手を着くところ。僕も孫がいるけど、庭にペットボトルがあると飲んじゃおうとする。ペットボトルがあると。
高圧洗浄機がなんとかとかいろんな議論がもちろんあるけれど、緊急避難はやっぱり緊急避難でやらないと駄目。
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例えば、いろいろ線量が高いところがあると、高圧洗浄機も悪くないと思うのが、ここまで0.6μSv、ここを洗うと0.2μSv、結局コケが取れている。ここだと中学校で2.7μSv、洗うと0.6μSvだから、ここはしかも人が全然普通に通るところ。そういうところはやっちゃうのはいいんだけれども、高圧洗浄機って、飛まつが散る。それから同じようにアスファルトのこれも口に入っちゃう。

(津田氏)それをやるときに自分が被曝してしまって・・・。

【その③】に続きます。

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