※この記事は、7月23日 小出氏講演:「原爆・原発と憲法9条」@堅田9条の会【その③】の続きです。

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誰も責任を取らない原子力村
 日本はもんじゅだけでもすでに1兆円のお金を捨てた。
 つい何年か前に、小室哲也という音楽プロデューサーが6億円の詐欺をしたという事件があった。そのときの報道で知ったのだが、現在の裁判の相場でいうと、1億円の詐欺をすると1年の実刑を喰らう。だから小室哲也は6年の実刑を喰らうはずだったが、お金を出してくれた人がいたので、彼は助かって実刑にはならなかった。

 では、1兆円の詐欺をしたら、何年の実刑か?
 「1万年」
 原子力を進めてきた人たち、原子力委員会の委員、あるいは国の官僚、そういう人たちに私は責任を取らせたいと思う。一体何人それに(音声不良)関わった人がいるのか分からないが、例えば100人居たとすれば、一人100年の実刑。もうどうしようもないほどの犯罪を彼らは犯してきた。でも誰も責任を取らない。
 これは先ほど見ていただいた図だが、これはできない。
35 プルトニウムサイクルの破綻


 では、できないからこれで終わりでいいかというと、日本は普通の原子力発電所で取り出したプルトニウム、これ実はウラン燃料再処理と書いたのは、今日本では六ヶ所村に作っているが、これまでは無かったので、イギリスとフランスの再処理工場に送ってプルトニウムを取り出してもらってきた。それは高速増殖炉で使うという名目のもとに取り出してもらっていた。一体どれだけ取り出したかというと、これだけ。

36 日本のプルトニウム保有量


 1993年から2005年くらいまでのデータ。イギリスとフランスで取り出して、既に日本に戻ってきたのが、この青い部分。イギリスとフランスで(音声不良)全体で約45トン。既に日本という国は、日の丸がついた(音声不良)。それで、長崎が他の原爆をいくつ作れるかというと、80メガトンできる。メガはわかりますか?メガは100万倍。長崎原爆が21キロトン。つまりこれは長崎原爆が4000発作れる。それだけの量のプルトニウムを、既に日本という国は懐に入れてしまった。そういう国。
 そうすると、高速増殖炉で使うといってプルトニウムを使うと言ったけれども、これを使うことができない。そんなことを世界が許すはずがない。
 皆さんは、日本という国は、世界から信用されていると思っているかもしれないが、そんなことはない。世界は、日本という国は大変怪しい国だと思っている。何十年か前までは、アジアで何千万人もの人たちを殺した。その国が、長崎原爆4000発分も作れるプルトニウムを持っている。そんなことは到底許せないという。
 そのため日本は使い道の無いプルトニウムというものを持たないという国際公約をさせられた。そしたらどうするかというと、しょうがないから、現在、熱中性子炉=サーマルリアクターという炉があるが、そこで燃やしてしまうという、プルトニウムをプルサーマルリアクターで燃やしてしまう。

37 プルサーマルサイクル


 これを聞いてもらおうとすると、また一回分かかってしまう。今日はやめにする。
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 そして、現在福島で原子力発電事故が起こっている。

38 福島原発事故 今進行中


このことも今日は聞いてもらうことが出来ないが、4つある原子炉の既に3つまでが爆発してしまい、2号機だけは形はあるが、中身は原子炉の溶け落ちている、大変悲惨なことになっている。
 こんな原子力を何で進めるのか?
 あきらめないで、未だに日本は原子力発電を続けようと言っているし、高速増殖炉だってやり続けると言っている。なんでこんな馬鹿げたことをいつまでもやり続けるのか?というと、そこには究極的な理由がある。1兆円もの金をどぶに捨てて、10年経ったら20年夢が先に逃げるという高速増殖炉を作る、そのことをどうしても諦めきれない本当の理由。
 それは何かというと『核兵器』
 私は先ほど、普通の原子力発電所で稼動時もそのなかでプルトニウムが出来ていて、それをイギリスとフランスに送って再処理してもらって、日本がプルトニウムを懐に入れていると言った。
 そのプルトニウムがどういう組成かというのは、この一番上の帯。いろいろな色で振り分けてあるが、ウランに燃えるウランと燃えないウランがあるように、プルトニウムにも燃えるプルトニウムと燃えないプルトニウムがある。普通の原子力発電所で出来てくるプルトニウムは、赤い色と黄色い色の部分を持っている、つまり約7割しか核分裂をしない。残りの3割は核分裂をしない役立たずのプルトニウム。

39 プルトニウムの組成 用途別


 でも、もし原爆を作ろうとすると、燃えるプルトニウムが90%、或いは93%くらいはほしいというのが常識。このプルトニウムでも原爆は出来ると実験で確かめられているが、やはり高性能の原爆は作りにくい。
 そこで日本は、これで4000発は確かに作れるが、「これではやっぱり嫌だ。もっと高性能な原爆を作りたい。」
 どうするかというと、高速増殖炉というものを動かすと、そこのブランケットというところ=炉心を取り巻く部分に燃えないウランを入れていくと、プルトニウムに変わっていくという構造の原子炉、そこにはなんと98%の燃えるプルトニウム、超優秀な原爆材料が出来てくる。そういう道具。
 高速増殖炉が実用化する。つまり日本中に出来て、発電するかどうかなんて彼らにはどうでもいい。とにかく1基でも2基でも高速増殖炉を動かして、核分裂性のプルトニウム98%という途方も無い、超優秀な核兵器材料を手に入れたいと彼らは思っている。だから、高速増殖炉を諦めないでやっていこうとしているということ。

40 Nuclear weapon核兵器 このNuclear Weapon訳してください。
 簡単ですね?核兵器






41 Nuclear Power Plant原子力発電所 では、これは何ですか?
 これを正しく訳せば、核発電所だと私は思っているが、原子力発電所と訳す。






42 Nuclear 軍事・平和 同じNuclearという単語をあるときは「核」と訳しあるときは「原子力」と訳す。核と訳すときは軍事利用、原子力と訳すときには平和利用。なんかそれって違うものというふうに日本ではずっと宣伝が為されてきて、ほとんどの人はこの宣伝に騙されてきた。





43 Nuclear Development核開発 ではこれはなんですか?Nuclear Development。核開発。
正しく訳せば核開発。
 例えばイランという国は、今ウラン濃縮工場を稼動させようとしている。核開発をしている。大変イランという国は悪い国だから、制裁をしなければいけないと米国がいって、日本は尻馬にのってそういっている。




43 Nuclear Development核開発原子力開発追加 では日本は、ウランを濃縮していないのか?プルトニウムを得るためにウラン濃縮している。巨大なウラン濃縮工場を日本は持っているわけで、そういうときは、なんというかというと、原子力開発。
 皆さん、マスコミの報道を注意して聞いてみてください。
 イランがやるときは核開発。日本がやるときは原子力開発。それを皆さんちゃんと信じ込まされてきて、「日本が原子力をやることはいいことだ」と言う。


 日本は平和国家で、原子力も平和利用3原則があるから大丈夫だと思っているかもしれないが、日本政府の公式見解はこう。

44 日本政府の公式見解


 ちょっとめんどくさい書き方になっているが、原子力だって持っていいとはっきり言っている。これが日本政府の公式見解。何度も何度も国会でこの答弁を繰り返している。
 こういうことは、私は昔から知っていた。ちゃんと政府の公式文書に書いてある。

45 我が国の外交政策大綱


 NPT=核拡散防止条約
 つまり、当面は政策的には持たないが、いつでも作れる能力だけは持ってかなければいけない。ちゃんと政府はこういうふうに考えてきた。
 もっと露骨なのはこれ。

46 外務省幹部の談話

  
 (音声不良)ずっとこれに従ってプルトニウムを懐に入れ、ロケットもちゃんと開発してきた。(音声不良)技術的なポテンシャルをずっと日本は歴史的に計画しながら一歩一歩それを実現してきた、そういう国。
 皆さんが知っている憲法9条にこう書いてある。

47 憲法第9条


 ものすごい明確な文章。これをどうやって解釈できるかなんて、解釈の余地もない。軍隊なんて持たない。戦争も一切しないと書いてある。
 これは先ほど聞いていただいた満州の戦争の時に、兵隊を満州に送り込むとき、国民がこんなふうに見送った。

48 戦時中の東京駅1931


 これは何でしょう。これはイラクに日本の自衛隊が出て行くときに、それを送った国民がこうやって来ている。

49 イラクに向かう自衛隊を送る2004

 
 全く歴史を学んでいない。
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 日本が平和国家で、軍隊を持っていないなんて誰がどういう面をして言えるのかと私は思う。
 世界の軍事費がどうかというのをここに書いた。2008年度。

50 世界の軍事費トップ10 2008


 もちろん最大の軍事国家は、米国。圧倒的。後に続くのは中国。これが国連の常任理事国。現在の世界を支配する、何でも使って世界を支配する国連常任理事国の5カ国が、軍事費でも(音声不良)。それに続いてドイツ、日本、イタリア。先の戦争で負けた3カ国。他にもあるけれども、世界ではどうやって相手を軍事力で内倒すかという、それによって自分の国が強くなるとしているし、日本という国はその10指に入るほど巨大な軍事国家になってしまった。


 今日、この会場は教会。
 教会という組織が世界の平和の中でどういう役割を果たしてきたかということは、この会場にクリスチャンの方もいらっしゃると思うので、よく考えてほしいと思う。もちろん戦争に反対してきた方もたくさん居ただろうし、一方では加担してきたクリスチャンの方も居たんだろうと私は思う。
 今から聞いてもらうのは、ドイツ福音主義教会のマルチン・ニーメラーという牧師の言葉。ニーメラーは先の戦争の時に初めは(音声不良)戦争に加担していた一人。それでも途中で(音声不良)の活動を始めた。そしてニーメラーはナチスに捕らえられて強制収容所に入れられ、危うく死ぬところだったが、戦争が終わる時にようやく救出されて生き延びた、そういう人です。
 そのニーメラーがこう残している。
 パートナーと一緒に自分が居たナチスの強制収用所に行った。

51 マルチンニーメラー①


52 マルチンニーメラー②


53 マルチンニーメラー③

 37年からは彼自身が捕らわれていた。 だから彼にはアリバイがあって何もできなかったということ。
 人が焼き殺されている時に、ニーメラーはまだ自由な人間としてドイツにいた。そういうことをどこまで知っていたかは別にしても、でもその国に自由な人間として彼は生きていた。

54 マルチンニーメラー④


 こういう手記をニーメラーが書いている。

55 マルチンニーメラ⑤


 やはり歴史というものは、ちゃんと見つめて現在そして未来につなげていかなければいけないと思う。原子力として起きている問題も、そのとおりだと思う。私は今、ここに全く自由な人間として立っている。警察から拘束をされているわけでもない。刑務所にいれられているわけでもありません。その私が足を踏んでいる場所では、原子力というものが進められていて、今日は聞いていただけなかったが、大変な悲劇が今、福島で進行している。そんな悲劇をものともしないで、日本が原子力を進めるということは、要するに核兵器を持ちたい、そのことなんだと私は思っている。それを思いながら、それに何の抵抗もしないまま生きるということをすると、私はニーメラーが後悔したように、いずれ私自身も後悔しなければいけないと思うので、なんとか原子力の真の姿を皆さんに伝えることで、なんとか原子力を止めたいと願うのです。ただ、私一人が願っても全く無力であることは歴史が示しているし、残念ながら福島のことすら防ぐこともできなかった。
 なんとか皆さんお一人お一人の力を借りて、原子力を廃絶に追い込みたいです。
今日はありがとうございました。
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休憩後質問

すいませんが、省略します。
【以上】

この作業をしているとき、自分の無知さに腹が立ってしょうがありませんでした。
小出先生の言葉は重い。
受け止めるので精一杯だなんて言っていられません。

やるべきことがあるのなら、その方法を考えて行動していかないと。
Bochibochiも言います。

皆さんの力が必要です。
お願いします。どうかこの国を一緒に変えていきましょう。

失礼します。

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