<36:30頃>
(池上氏)今までの話をとりあえず私なりに整理をしますと、脱原発がどうかというところで、無理やり原発賛成・反対って分けての議論はありがちなんですが、今のそれぞれの話を冷静に客観的に受け止めていけば、「とりあえず、長期的にはなるべく脱原発の方向に行くべきだ。そのために自然エネルギーがどこまで活用できるか。或いはその為の技術開発が必要なんではないか」というところにおいては、長期的においては、恐らくコンセンサスが得られるのかな?と。少なくともこの会場では、コンセンサスが得られるのかなと。ただ、そのスパンがどれくらいなのかという話になると、また更に詰めた議論をしていかなければいけませんが、長期的に皆が目指すものはそれほど大きな違いはないのではないかと思います。
 ただし、「今すぐに原発やめるわけにはいかないじゃないか、経済の影響が大きいじゃないか」というところに関しては、「いや、今でも節電できてるんだから、それでいいじゃないか」「電力不足っていうのは東京電力のプロパガンダじゃないか」というところで言えば、ここで少し議論・意見が分かれますね。
 さらに言えば、その背後には、ある種の人生観のようなものが滲み出てきたような気がします。「経済活動のことを考えれば、多くの働く人のことを考えれば、いますぐ原発をやめるわけにはいかないよ」という人もいらっしゃれば、「いや、節電、これはこれでまた生き方としていいんじゃないか。そこでまた新しい家庭、新しい社会のあり方があるんじゃないか」とこういう意見があった。ここで少しいろんな考え方が分かれるかなと思います。ただし、まさに私たちはこれからどう生きていくべきか?という生き方の問題を非常に問題として投げかけている。
 それはまさに今回の問題なんだろうと思うわけです。こういう風に議論を整理していくと、ある程度、日本全体としてのコンセンサスに向けて、少しでも近づけるかなと思います。原発賛成・反対でただ激しくやりあうのではなく、今のように皆さん方がそれぞれ自分の意見を冷静に述べて、なおかつ自分に反対した人の意見を、またきちんと聞いて、その意見は意見として尊重しつつ、しかし私はこう思いますという形のまさにこういう議論討論というのを、私たちは冷静にこれからもやっていかなければいけないという風に思います。

【ディスカッション開始】9)復興の財源
<39:00頃>
(池上氏)ではもう一つテーマ行きましょうか。「復興の財源」というところですよね。今まさにこれからの復興どうするかが大きなニュースになっています。そこで、復興の財源はどうするのかというところですね。基幹的な税の増税はやむなしというのが、復興会議で出たりしている。復興の財源について、今この場合の増税は「現時点で」というふうに考えましょう。短期的に考えましょうか。とにかく復興の財源、今どうるすか。増税やむをえないだろうという人は白、いや、今すぐ増税というわけにはいかないだろうという人は青を。そんなこと言ったってどっちかなんて言えないよと、難しいよという人もとりあえずどちらかに分けて挙げてみてください。ではどうぞ。
おぉー、これは、増税はやむをえないよりは、増税はいいえ、ほとんど同じですね。はい、ありがとうございました。
さっきに比べると、本当に拮抗しています。真っ二つに割れたということです。じゃぁ増税はやむをえない、という方、原発について意見を言った方はご遠慮くださいね。他の方で増税はやむをえないという方どうぞ。ご自分のご意見を。後ろの真ん中のそちらの方。
(船橋さん)僕は増税賛成なんですけど・・・
(池上氏)え?増税やむをえない、増税賛成派ですよね?
(船橋さん)はい。増税賛成派なんですけど、やっぱりこの今の状況を見ていても、やっぱりお金は足りないということは周知の事実だと思うんですよ。なので、これはやっぱり増やしていけないというのは事実だと思いますし、やっぱりヨーロッパと比べても、日本の消費税などはやっぱり低いっていうのはあります。ただ、闇雲に増税するのではなく、やはり国の支出ていうのを削って言った上で増やすっていうことがやっぱり一番大事なものだと思う。あと、使い道もしっかり決めていくってことが一番重要なことだと思います。
(池上氏)わかりました。ちなみのその前の増税は、あなたの場合は、どの税金を上げることを考えていらっしゃいます?
(船橋さん)あまり消費税という、まず消費税を一番最初に挙げるというよりも、そのやはり高所得者などの税っていうのはまだあると、個人的にまだ取れると思っているので、そういう裕福な人からまず取った上で、それでも足りないという状態があって初めて消費税にいっでもいいのかなという風に思います。
(池上氏)なるほど。金持ちから取ると。
(船橋さん)はい。僕自身は金持ちじゃないので・・・。
(池上氏)はい。わかりました。ざっくりいうとそういうことですね。
増税はやむをえないという方、ほかに?じゃ、一番端の方。
(高橋さん)自分は増税はしたほうがいいと思うんですよ。前に大前研一さんの本に「増税しなくても日本が経済的に発展すればそこで税収が生まれてなんとかなる」みたいなことが書いてあったんですが、ホームレスマネー?でみたいな。でもそれは、違うと思うんですよ。日本は国際的に見て税金は消費税とか少ないですし、もっと取っていいと思いますし、心配です。なんか答えになってませんけどそんな感じです。
(池上氏)わかりました。増税は必要だと。その場合の増税は、何税を上げる?
(高橋さん)消費税です。
(池上氏)はい。先ほどは金持ちからとればいいんじゃないかという意見がありましたが?
(高橋さん)いやー、だって消費税、日本は国際的に見てやっぱ少ないと思うんで、とりあえず10%に上げてみて、それでも足りなかったら20%でも。そんな3%から5%まで上がったときに、あんまりそんな影響がなかったってなんかの記事で見たので、上げていいと思います。
(池上氏)段階的に上げていっていいということですか?
(高橋さん)はい。
(池上氏)わかりました。増税やむなしもう一人行きましょう。そこの黒いジャケットで内側に白い服着てらっしゃる方いきましょうか。
(いざわさん)やむなしの理由として、まず??の場合ですと、増税しない場合、何で資金調達をしてくるのかというところで、赤字国債を発行しましょうというところで、日本の経済事態が今の現状の政策のまま進んでいければ、経済成長無理な状況ですし、人口もまた減っていく中で、税金をそのまま維持するのは難しいというところで、増税して、それを復興財源として当てるべきだと思います。その中で財源として、私は消費税だとは思っていますが、消費税を上げて、できるだけ法人税を下げて、海外マネーを引き込んだ上で、日本の経済成長にシフトさせていくということが私の考えです。
<45:00頃>
(池上氏)わかりました。ありがとうございます。
さぁ、増税ってわけにはいかないだろうという反対の方、ご意見いただきましょう。さっき大勢手があがってましたよね?はい、そこの方
(中谷さん)増税、本当は必要なのかもしれないとちょっと思っています。ただ、今の政治の仕組みからあまりにも無駄遣いが多すぎるというところで、足りなくなったら増税といつまでも繰り返していては、いつまでもこの状況は改善されないというふうに思っています。本当にどうにかならない、日本人全員がどうにもならないだめだっていうところになったら、もう仕方が無いかもしれませんが、その前にまだすることが山ほどあるというふうに思います。なので、今はまだそのときではないという風に思います。
(池上氏)そうしますと、とりあえず復興の財源はどうしますか?国債の発行ですか?とりあえずは。
(中谷さん)というところしかないというふうに思います。
(池上氏)とりあえず国債発行して、凌いでいこうと。はい。わかりました。
もうどうしようもなくなってからだと、間に合わないことないですか?
(中谷さん)というところもあるかもしれません。もしかするとですが。でも本当に日本人全員がこれをやるしかないとなれば、それは一番その底辺からのパワーで盛り返すことができるのではないかと、客観的かも知れませんがそのように思っています。
(池上氏)わかりました。さぁ、増税反対派、他に?後ろのブルーの着てらっしゃる方、いきましょうか。
(林さん)この場合、復興の財源の話なんですけど、定義にもよると思うんですけど、ある程度最低限の復興、例えば、仮設住宅を建てるとか、ご飯をあげるや水をあげるに関しては、公共の資金を投入するのは賛成なんですが、それ以降の事業再生とか、まさに復興というところに関していうと、日本国民が沖縄から北海道の人まで全員がお金を出して、それを支える必要があるかというと、僕は反対で。なぜかというと、最低限生きていくところまでは国が補償しましょうと。それ以降に関しては、ある程度ファンドとかちょっとこれはあれですけど、お金を一杯刷って復興の財源に充てるとか、そういう対策がいいのかなと思っています。
(池上氏)はい。そのお金を刷ってというのは、国債発行っていう意味ですか?そうではなくて?
(林さん)日銀が刷るということです。
(池上氏)日銀が、つまり政府の国債を日銀が引き受けてお札を刷れと、そういうことですか?
(林さん)そうですね。
(池上氏)はい。直接引き受けをやれと。わかりました。そういうご意見でした。他にございますか?そこの方どうぞ。
(大山さん)増税については、短期的には反対だと思います。増税をするにあたっては政治の話もあるんですけど、復興基準が正確に見えない状態で、財源ばかりを「お金が足りないからと皆さんください」という状態でお金だけあげて、ある程度お金がまとまった後で、例えば「従来型の公共工事だけやりましょう」とかそういう風につかわれてしまったら、正直、お金をとられたほうとしてみれば、ちょっと後から文句を言いづらいっていう部分もありますので、今復興担当大臣もすぐ止めてしまったっていうのもありますので、正確な復興基準が出た時点で、国民に「こういう復興基準をやります。みなさんどうですか?」ということで意見を聞いて賛成をえられた段階である程度、消費税なり、法人税なり、所得税なりを上げていったほうが増税のほうもしやすいと思うし、復興のほうも的確にに進んでいくとは思います。
(池上氏)わかりました。今すぐではなくて復興基準をきちんと出した段階で考えようとこういうことですね。はい。わかりました。
こういう話に対して、今度はいや、増税仕方がないだろうという側からの反論ありますか?はい。後ろの左手を高く上げてらっしゃる方。今までの方に対する反論、どうぞ。
(石田さん)無駄をなくしてからということも、もちろんそうだと思いますけれども、無駄をなくしてから、俺たち払ってやるかということではなくて、お金が出て行くわけですから、やっぱりそこはちゃんとじゃあこういうふうに、我々がお金を出してやっていきましょうと。税金を取られるとか、そういったイメージを我々が払拭して、増税と無駄をなくすのは両立させてやっていけばいいと思いますし、税金の使い方は、我々が考えてやればいいと思います。基本的に国債をこれ以上増やすべきではないと私は思ってますので、増税やむなしと思います。
(池上氏)はい。わかりました。増税やむなしでもう一人どうですか?その手前のかた。
(野島さん)私も増税やむなしで、日本既に財政的に逼迫した状態でこのような3.11という大震災が起きて、さらに財政的に厳しいという状態の中で、前の方の意見に似たところもありますが、待ったなしなんで、無駄の排除と同時にやはりどこから財源をもってくるか、やはり国債という形では次の世代にツケを回してしまいますので、今の世代で起きたことは今の世代で解決すべきだと私は考えています。
(池上氏)はい。わかりました。という増税やむなしに対して、いや増税するわけにはいかない、増税する場合じゃないでしょうという再反論ございますか?はい、じゃ、後ろの黒いシャツの方
(菅原さん)増税で景気が良くなった国はないという話を聞きました。景気がよくならなければ、ものを買ってくれなければ、税収は増えないわけで、消費税上げて果たして増えるのかなっていう疑問があるのと、被災地の皆さんにも等しく税金がかかってしまいますよね。その問題もあります。なので、消費税を上げることが解決になるのかなっていう問題があって、復興債ということをやって、受け売りになってしまうが、相続税を免除してその分、利子を出さないという方法がある。
(池上氏)あぁ、復興の無利子国債というものですね。利子はもらえないけれど、それを相続税する場合には相続税が掛からないという無利子国債ですね?
(菅原さん)はい。そういった方法もあると思うので、必ずしも、もっと広く考えたほうがいいと思います。
(池上氏)はい。わかりました。ありがとうございます。
 これもまた時間がなくなってしまいました。これも今まさに大きな議論になっていますよね。これがテレビですと、なんかそれぞれ相手をとっちめてやろう、やっつけてやろうという議論になりがちなんですが、今日ここで極めて冷静にそれぞれの方が発言されてますよね。そうすると、とにかくお金が足りないんだという点においては、これはみんな合意できるだろうと。
 じゃぁ、その先どうするのか?というところで、まずは無駄を排除すべきだろうという議論、あるいは無駄を排除しなければいけないだろうけど、お金は必要だろうという議論がありますね。そこであれば、もっと冷静に無駄は一体いくらなのか?それを排除した場合、どれだけ出てくるのか、それで足りないかということが客観的に検討できるわけですね。
 さらに、じゃあどうするのか、それは確かにただ金が足りないからといわれても出しにくいというところ、もちろんありますね。そうなれば、明確な復興ビジョンがでて、そのためにこれだけ必要だからというのが出たら、そこで考えましょうということに当然なりますし、その場合の復興ビジョンというときに、先ほどの方が、その場合の復興ってなんだろうか?とりあえず最低限困ってる人が生きていくためのものは、皆で援助していくが、そこから事業再生になるとそれはまた違うのではないかという議論もありました。復興とはそもそも何なのか?というところから復興のために必要なお金がどれだけなのか、そこでどうするかっていうことを議論していく必要がある。というところで増税が必要か、必要でないかという単に議論ではなくて、そこで共通するところを見出して、どうするか?ってことを考えておく必要があるんだろうと思います。
 考えてみれば、増税っていうのは、私たちが余計に払うわけですから、でもにもかかわらず、それをすべきだよっていう人がいて、極めてそこで冷静な議論が出来るということ。これは実はとってもすばらしいことだと私は思っています。
<55:00頃>
 私としては、個人的に意見を言うべき立場ではないんですが、ただ、考えるヒントとして一つ、提示しておきたいことがあります。それは先ほど民主主義の成熟度の話をしましたね。ノルウェーとか北欧の国々、なぜ民主主義の成熟度が高いのか、投票率が非常に高いということがあります。そういう国は、みんな消費税が20%から25%なんですね。以前私はデンマークに行って、消費税が25%で高くないですか?と町の人にインタビューしたら、誰も高いっていわないんですね。だって医療も教育も全部無料だし、ちゃんと私たちの納めた税金がきちんと私たちに帰ってきているから、これはちっとも高いと思いませんといいました。ただし、その税金を納めている、その税金を使うのは政治家ですから、変な政治家に任せるわけにはいきません、というので、みんなきちんと投票にいって、真剣に政治家を選んでいる。変な政治家はすぐ止めさえるということになっていました。
 やっぱり税金を納めるということと、政治を監視するということが裏腹なのかなという気がいたします。今議論を聞いていると、そりゃお金足りないかもしれないけど、今の政治にお金を預けて、今の政治家や役人がお金を無駄遣いしてしまうんじゃないの?という不信感があるからこそ、なかなか税金の話にはいかないんだろうなという風にとりあえず思いました。だから私はどうしろこうしろというつもりはありませんが、ただし、税率の高い民主主義の国は、投票率も高い。投票率が高いからそうなのか、そこはよく判りませんが、何らかの相関関係があるのかな?と。投票率が低いまま、いろいろ議論していてもいけないのではないかととりあえず思いました。
ここで予定の時間になってしまいましたので、会場とのやりとりはとりあえず一旦一段落ということにしようと思います。

第二部【その①】へ続きます。