少し遅くなりましたが、7月4日分のたねまきジャーナルを聞くことができました。
鉄のガラス化、初めて知りました。怖すぎます。
もう止めてほしい・・・。

どうぞお聞きください。

20110704 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章 (09:31)


【以下時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】
まず今ニュースにあった玄海原発の再稼動について。再稼動に向けて話がすすんでいるようだが、小出さんの感想は?
(小出氏)玄海原発が国が安全だというわけですね。
はい。海江田さんは安全性について国が保障するとおっしゃった。
(小出氏)玄海町も佐賀県も多分OKを出すんだと思うが、それなら福島原発に対しては国は安全性を保障していなかったということでしょうか?

福島原発については確か「地震の確率がゼロなので」ということだったんじゃないですか?
(小出氏)はい。いずれにしても、福島原発はどんなことがあっても安全だと彼は言ってきた。それで福島県はそれを信じていたわけだし、地域の住民の人たちも「国が言っているんだから大丈夫だろう」と思ってきた。けれども事故は起きた。

そうですね。
(小出氏)事故というのはそういうものだし、原子力発電所というのは事故が起きた時途方もない被害が起きる。だから私はやめるべきだと思っている。「国が安全だと言ったからいい」とは、どうしてそういうことが言えるのか長としていえるのか私にはさっぱりわからない。

あと、この玄海は4基まであるが、1号機が特に古くて36年、2号機は30年経っていて、この老朽化でだんだん原子炉が問題が生じてくると言われている問題の象徴的存在でもあると聞きました。
(小出氏)そうです。ただ、敦賀1号機、或いは美浜の1号機などもすでに41年経っているわけで、もっともっと老朽化している原発はあるので、老朽化という問題だけで言うならば玄海が特別悪いということはない。

ただ、老朽化すると、これは金属材料学専門の東大名誉教授井野さんという先生がおっしゃっている。この玄海原発の場合は、1号機で圧力容器本体が壊れる可能性が高いと指摘している。
(小出氏)私もそう思う。

小出先生もそう思う?どういうことなのか具体的に教えてほしい
(小出氏)圧力容器というのは、金属。鉄で出来ている。鉄というのは、叩いたところでへこむし、曲げようと思えばある程度曲がる。そういう意味ではガラスとは全然違う。ガラスは叩けば割れるし、曲げようとすえば壊れてしまう。鉄は、中性子という放射線を浴びていくと、どんどん脆くなっていく性質がある。一番初めの鉄自身は、いわゆる生活している常温20℃30℃であれば、脆くない。叩いても割れないし、曲げれば伸びる。中性子という放射線を浴びるとどんどん脆くなっていき、ガラスに近づいていく。

ガラスのような特性に近づいていく・・・
(小出氏)それが、近づいていく温度がもともとはマイナス何十度までひやさなければガラスのようにはならないが、中性子を浴びるとともにガラスのようになってしまう温度が、どんどん上がってくる。普通の温度でも鉄自身がガラスのようになってしまうということで、今現在、玄海の3号炉だったか4号炉だったか1号炉だったか、正確には記憶がないが、そこは九十数度という温度でガラスのようになってしまう。それよりも低い温度なら、ガラスのような性質になってしまう。普通、原子炉が動いている時は、二百何十度だからいいんだが、もし何かトラブルがあって、原子炉を冷やそうとして冷たい水を入れようとする。福島でやっているように。そういうことをすると、鋼鉄製の容器自身がガラスのような状態になっているところに水をいれてしまうということで、壊れてしまう。

壊れるという、壊れ方が、バーンと割れてしまう、はじけてしまうようなガラスのパリッっと割れてしまうイメージですか?原子炉がパンと割れるということはつまり何を示している?
(小出氏)そうです。もう手の打ちようがないということ。

中にある放射性物質、核燃料が全部大気中に一遍出る?
(小出氏)まぁ割れてしまうと、水が抜けてしまうので原子炉を冷やせなくなる。原子炉がメルトダウンすることが避けられなくなる。それ以降どういう挙動を取るかということはわからない。格納容器が壊れてしまえば大気中。底に穴が開けば、地下にめり込んでいく。いずれにしてもどういう経路かをとって、環境に放射能が漏れていくということになる。

先生、あの、この加圧水型っていう原子炉、これは福島は今回は沸騰水型のようだが、関西、関電は加圧水型ですよね。そういう意味では、万一のとき最も怖いタイプの原子炉といえるんですかね?
(小出氏)そうです。沸騰水型に比べて温度も圧力も高いので、事故があったときには進展も早いし、圧力容器の健全性というのはもっと重要だと思う。

こうしたどのタイプだとか何年たったらどうなってくるのかということは、電力会社も国もわかっているんですよね?
(小出氏)判っていないと思う。

わかっていない?
(小出氏)判っていないというか、原子力というのはまだまだ新しい技術。1954年に一番初めの商業用原子力発電所がソ連で動きはじめて、57年に米国のShipping Portというところで動き始めた。それから初めて原子力発電をやりはじめた。一体何年もつのか?と考えたが40年だろうなと思いながら来た。その40年本当にもつかどうかを原子炉の中に試験片を原子炉に入れて、鉄がどれだけガラスに近づいていくのかを調べながら来ている。それで、当初は40年だと思いながらきたが、まだ大丈夫じゃないかということで、今寿命を延長しようとしていて、米国などでもどんどん延長している。日本でも既に40年を経て敦賀でも美浜でもまだ動いている状態。それは安全性を少しずつ食いつぶしながらきていることだから、私としては止めてほしいと思うし、ガラスにどんどん近づいてきたような圧力容器を持っている原子炉から止めるべきだと私は思う。

ドイツやアメリカなどでは、廃炉っていうんですか?
この間はメルケルさんが廃炉をした。
そういうふうに止めていくっていう動きはあるんですよね?
(小出氏)もちろんある。

40年でもまだ大丈夫じゃないかとその試験のかけらから思って今どんどん伸びていこうとしている。ただそれはまだ判らない領域に我々は入ろうとしているということ・・・
(小出氏)危険性がだんだん上がってきているということは確か。どこまで頑張るかということでやろうとしている。

コレ多分コストの関係とかいろいろあるんでしょうね。
またそうした面から語っていただく機会を作りたいと思う。
ありがとうございました。

【参考資料】
玄海原発、想定以上の劣化か 専門家指摘「廃炉に」
朝日新聞社 2011年5月27日16時5分
 九州電力玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)の原子炉圧力容器の劣化が想定以上に進んでいる恐れのあることが、九電の資料などからわかった。九電は「安全性に問題はない」とするが、専門家は「危険な状態で廃炉にすべきだ」と指摘。1号機は稼働中で、反原発団体は原子炉の劣化を危険視している。

 原子炉は運転年数を経るにつれ、中性子を浴びて次第にもろくなる。その程度を調べるため、電力各社は圧力容器内に容器本体と同じ材質の試験片を置き、もろさの指標である「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」を測っている。温度が上がるほど、もろさが増しているとされる。

 1975年に操業を始めた玄海原発1号機は九電管内で最も古い原発で、想定している運転年数は2035年までの60年間。脆性遷移温度は76年、80年、93年に測定し、それぞれ35度、37度、56度だった。ところが、09年には98度と大幅に上昇した。

 九電はこの測定値から、容器本体の脆性遷移温度を80度と推計。「60年間運転しても91度になる計算で、93度未満という新設原子炉の業界基準も下回る数値だ」と説明している。
http://www.asahi.com/national/update/0527/SEB201105270004.html

以上です。

失礼します。