テレビしか見ない日本の方に、こういったニュースは響くのではないでしょうか。
ご紹介しておきます。

ザ・特集:言わせてほしい! 芸能人も「脱原発」続々
毎日新聞 2011年6月30日 東京朝刊
 福島第1原発事故を契機に、芸能界からも「脱原発」の声が相次いでいる。俳優の菅原文太さん(77)は「原発の是非を問う国民投票を」と発言。反原発を訴えたことでドラマを降板させられたと明かした俳優の山本太郎さん(36)も注目の的になっている。大震災で日本の芸能界も変わりつつある?【大槻英二】

 ◇山本太郎さん「仕事への影響は想定内」/菅原文太さん「電力30%減、いいじゃないか」
 芸能評論家の肥留間正明さんは「これまで芸能界では(思想的に)右の人も左の人もお客さんなのだから、芸能人はノンポリでいいんだという風潮があった。ところが、原発事故を受けて、変わるかもしれません」と指摘する。

 「言わせてください、僕にも。福島の皆さん、東北の皆さん、できることなら避難してください」--。原発事故の影響を懸念し、避難勧告が出ていない地域で暮らす子供らの疎開を支援するプロジェクト「オペレーション・コドモタチ」に賛同する山本さんのメッセージだ。5月14日に動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされ、再生回数は既に37万回を超えている。

 山本さんは、原発事故についてあいまいな説明に終始する政府や東京電力に強い不信の念を抱いた。4月9日、ソフトバンクの孫正義社長がツイッターで原発への賛否を呼びかけたのに対し、「反対!」と回答。翌10日、東京・高円寺であったデモに初めて参加した。

 5月25日には自身のツイッターで、反原発発言が原因で出演予定のドラマを降板させられたとつぶやいた。それがネット上などで大騒ぎになったことから、2日後に「迷惑をかけられない」と13年間所属した事務所を辞めた。

 7月3日まで横浜の神奈川芸術劇場でミュージカル「太平洋序曲」に「フリーの役者」として出演中の山本さん。本番前に直撃した。

 「電力会社が最大のスポンサーである芸能界で、異を唱えたら仕事に影響を与えることはわかっていたけれど、今の状況を見過ごすことは人としてありえない、今声を上げなかったら、一生自分を許せなくなると思った」と反原発公言に踏み切った胸中を明かした。

 また、ドラマ降板を告白したことについては「これだけの状況になっているのに、多くの芸能人が一言も発しないのは、こういう背景があるからということだけを言いたかったのですが、(どこのテレビ局で、プロデューサーは誰かなどと)犯人捜しみたいになってしまい、その点は申し訳なかったと思います。事務所にいられなくなることも想定内ではあったけれど、思っていたより早まった。でも、後悔はしていません」。そうきっぱり言って、楽屋に向かった。

 「太平洋序曲」の観客に聞いてみた。「逆境に負けないで頑張ってほしい」(西東京市の40代女性)、「役者がはっきりものを言うのは海外では聞くけど、日本では珍しい。応援したい」(東京都杉並区の54歳男性)と、予想以上に好意的な意見が多かった。

 肥留間さんは「山本さんは、今回のことで男を上げたのではないか。むしろ、今は原発推進のCMに出ていた人に風当たりが強くなっている」と指摘する。確かにインターネットなどでは、原発のみならずオール電化住宅のCMの出演者らにも多数の批判が寄せられている。

 ただ「もっとも、一般市民ならデモに参加したりするのは当たり前で、彼は特別なことをしたわけではないんですけどね」と肥留間さん。それだけ日本の芸能界が“スポンサー寄り”だったということか。

 一方、仙台出身の菅原さんは今月14日、都内で行われた被災地から他県への移住を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」の会見に出席し、「(脱原発を決めたドイツ、イタリアとともに)いい意味での三国同盟を」などと呼びかけた。インタビューを申し込むと、「大事なことですから、お受けします」と、すぐに応じてくれた。

 山梨県で農業生産法人を営むなど、農業に思い入れのある菅原さん。福島県相馬市で酪農家の男性が「原発さえなければ」と書き残して自殺したというニュースに触発された。

 「戦後日本は政官財学が癒着して、経済成長優先で原発を造り続けてきたということだろ。そういう仕組みは、ここで断ち切らないと駄目だよな」。首にタオルを巻いた文さん。眉間(みけん)にしわを寄せ、険しい表情で語り始めた。「ところが、いまだに聞こえてくるのは『原発がなければ、経済が停滞してしまう』という声ばっかりで、『自然エネルギーに向かおう』という声が聞こえてこないじゃないか」。かなり怒っている。

 「仮に原発をやめて30%の電力が減ってもいいじゃないか。原発を造り始める40年前までだって、別に餓死者が出たわけじゃないだろ。けつをふくのまで電気を使う生活なんて、おかしな話。俺たちが若かったころは、かまどでご飯をたいて、七輪で魚を焼いていた。そういう暮らしの方が、人間が乾かないで済むよな」

 ところで、俳優として脱原発を掲げることに、ちゅうちょはなかったのか。

 「あのね、政治に対してものを言うのは、どんな職業だろうと自由だろ。国民一人一人が、原発に対しての賛否を言ってほしいよね。だから、衆院を解散して総選挙なんかやる前に、原発の是非を問う国民投票をすべきだって言ったんだよ
 そして、俳優の西田敏行さん(63)が出身地の福島県郡山市で「福島を汚したのは誰だ!」と絶叫したことに触れ、「あれは、被災した人たちの思っていることを代弁した大事な叫びだった。西田氏は前から反原発と言っていたようだけど、俺は俳優なんて異端の方が面白い、異端じゃなきゃ駄目だと思っている。いや、こういう非常の時には、政治家でも学者でも異端が出てこなきゃ困るね。そう、幕末の志士みたいなね」。

 菅原さんの顔が、80年のNHK大河ドラマ「獅子の時代」で演じた反骨の会津藩士、平沼銑次に見えてきた。

 日本人の価値観を変えた、ともいわれる東日本大震災。その一端なのか。フクシマ・ショックは、電力会社などのスポンサーに配慮して発言を控えてきたとされる芸能界の「常識」も揺るがしている

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