(59:00-)
続いて、若狭湾の全体的な状況。
敦賀の1号は、もんじゅのすぐ東側にある。これも原発の敷地内に活断層が走っているという本当にまれな場所。しかも40年を過ぎている老朽炉。今回の福島の1号もそうだったが、マークIといって、アメリカのGE社が作った非常に古い型で欠陥のあるもの。日本でも10基導入したが、この敦賀1号がそれ。「マークIの特徴は、格納容器が非常に小さいこと。だから破裂しやすくて怖い」と小林先生に教わった。敦賀1号のすぐ西側に美浜1号、これも40年以上の日本で三羽烏と呼ばれる老朽炉。さらに西へ行くと高浜3,4,5号はさっきも出ていたプルサーマルを既に1月に3号機で始めている。これは普通の原発では使わないとしていたMOX燃料(=ウランにプルトニウムを混ぜて使う)をやっている。さらに関電の耐震評価だが、大飯で7.4、美浜で7.7。津波については、関電は2mしか設定していなかった。ようやく今回の福島を経て、2.9mに引き上げたが、それでも2.9m。もんじゅはもう少し高く、5.2mと設定されているが、だいたい日本海側には津波は来ないというのが、推進派の考え。ところがどっこい、北海道の奥尻で大きな地震・津波があった。あれは日本海側。あれから考えて、日本海側に大きな地震・津波はないということはありえない。これは想定しておくべき。
一つもんじゅのところで言い忘れたが、私たちはもんじゅで事故が起こったらどれくらい放射能が広がるのだろうか?と心配して、10年前からいろいろな調査をしてきた。
もんじゅ事故時の放射能の流れだが、毎回風船を100個ほど膨らませて飛ばしてみた。最初のうちは飛べばいいと思い大きなものを使ったのでどんどん上昇気流に乗って1000m、2000mになると偏西風で東側へ行く。ABCDEと広がってはいるが、だいたい東方面。もちろん途中までは南に向いているので、ある一定距離までは、琵琶湖の上まで来る。Fの時にちょっと風船を小さくしてみた。すると滋賀県の北のほうで拾った方が返事をくれた。かなり幅のひろい三角形にこの時はなった。琵琶湖に放射能が落ちるということは、近畿の水がめが汚染されるので、水だけでも関西に住む人間の命綱が絶たれてしまう。もちろん空気で食べ物も土壌も汚染する。琵琶湖から流れ出る淀川は、たちまち大阪湾・太平洋・瀬戸内へと流れていく。
もう一つ、海流はどう流れていくか。
去年の夏、もんじゅの沖合いへ船を出してもらい1000通の葉書を流した。たどり着いたのは福井県越前海岸、石川・富山・新潟・山形・秋田・青森まで北上し、片方は北海道まで。さらに青森の津軽海峡を渡り、岩手・茨城まで太平洋を南下した。この水の流れだけを見ても、日本の3分の2を汚染してしまう。
(01:06:25-)
世界の高速増殖炉計画が、どのように挫折したかを表にしてある。
一番早くに開発を始めたアメリカは、もっとも恐ろしい核暴走事故を起こし、あまりの恐ろしさに1955年辞めてしまっている。同じく、66年に炉心溶融事故を起こし、○○も辞めている。イギリス・フランス・ドイツは90年前後で続々と辞めている。イギリスは蒸気発生器という箇所の1本の細管破断があっという間にに44本に広がり、あまりの恐ろしさでイギリスはやめた。フランスも原因不明の出力異常でスーパーフェニックスも辞めている。
唯一日本だけが後から開発して1週も2週も遅れたトップランナーとも言われているが、ただ一人手探り状態の恐ろしい実験を続けている。もんじゅをよく知らない人は、もんじゅも普通の原発と思っている。もんじゅは実験炉なので、国民に1wの電気も供給してくれていない。既に開発を始めて50年近くになるが、全く、何の役にも立たずに、税金ばかり使って事故を起こしている。未だにまだ50年先を夢見て続けている。未だにあきらめようとしない。
なぜそんなにまでして、危険で2兆円近くもお金のかかっている、まだこれからも一杯かかるのに、続けるのか?
理由は、もちろん推進側は「日本が資源小国だから。そのために高速増殖炉で燃料をプルトニウムに増殖するのが夢なんだ」という理屈。あくまでも理屈であって、そんなもの50年経って何も実証されていない。今後50年経って、そんなものが実証される見通しなんて全くない。いい加減にしてほしい。
やはりそこには隠された理由があるのではないか。
ただ一つ考えられるのは、もんじゅから取り出せるプルトニウムが他では全くない98%という純度の高いプルトニウム。それは小型の核兵器にすぐに使える。簡単な理屈だそうだ。既に何トンか出来ているが、日本の政治家の中で、やはり一定の有事の場合、それを切り札として持っておきたいという強い核武装への願望があって、断ち切れないようだ。そういう一握りの人たちに、なぜか政治家が弱いというか、そこのところは非常に歯がゆく思っている。
長年活動してきて、いろんな議員に会って一生懸命そのことを言うのだが、口ごもってしまう。
例えば「もんじゅを廃炉に」の100万人署名を持って行って枝さつきさんが当時幹事長長官だった。長官の部屋へ通されて会ったが、その長官室にロケットの模型ともんじゅの模型が並んである。それを見たら一目瞭然。すぐに枝さんに「そういうことか?」と聞くと、大慌てで「違う違う」と否定した。やはり外国から見れば、日本の核武装に対する懸念はぬぐえない現実としてあると思う。私たち国民も、もっともっとそのことをしっかりと見抜いて、単に「もんじゅが危険だ」ということと同時に、「それがどう使われるか」というもう一つの危険も指摘しなければならない。
(01:12:45-)
時間が迫ってきたので、今後、脱原発ヘ向けて私たちがどういう取り組みをしていくかという話に移る。
今、嬉しいことに、去年までだったら考えられないような現象が次々と起こってきている。例えば、知事レベルの人々がボーンッと『脱原発』を言い始めている。同じく立地県の知事が、今までと違う姿勢を示し始めた。「さすがにこれは」と思ったのだろう。政府に対して「安全指針をきっちりしなさい、それなしには運転再開はさせない」と言っている。福井の西川知事は、私たち、何回要請に行ったか・・・。その度にがっかりして帰ってきた。ここのところ大分姿勢が違ってきたなと思う。
今回海江田さんが運転再開の要請に全国回ると言っている。それに対して、ただちに立地県の知事は「そんなこととんでもない」と反対する構えを見せている。今のこの地震が大動乱期であることを前提に考えれば、どの原発も「絶対安全」なんて言えない。比較的危険度はいろいろある。私たちもすぐに全部止めてほしいのはやまやまだが、やはり財界のことなどいろいろ考えて、ドイツを見ても11年先に全廃と言っているわけだから、日本でもすぐに右から左に全基を止めるのは難しいだろう。やむなく、今回の脱原発全国署名を考えた時に2段階に分けた。まず一番すぐに廃炉してほしいものと、早急にどんどん計画的にやめていってほしいものに分けた。
即、辞めてほしいのは、浜岡。浜岡は停止はされたが、停止して防波堤をどんなに高くしたところで、停止は停止。今回の福島が津波だけではなく、まず地震で一発目壊れている。だから、地震と津波両方考えなければ駄目。どんなに防波堤を2-3年掛けて高く作っても、それまでに、東海。南東海・南海の大きな地震がきたら、今でさえめちゃくちゃなあの福島もどうなるかわからないし、浜岡もどうなるかわからない。もっと大きな揺れ、損害が実際にあるだろうと思う。もう一つ四国の西のはずれに伊方原発がある。これも30年を超えた古いもので、古くから反対運動されている。ここも怖い。
関西からしてみれば、伊方から吹く風は、直接関西にくる。そのこともあるし、やはり伊方も怖い。それにさっきから言っているもんじゅ。それに美浜・敦賀のそれぞれ1号、これは地震に襲われたら、一発で駄目じゃないかと思う。それと六ヶ所の再処理工場。これも今回は本当に幸運にも津波を免れたが、あれが津波にさらわれたら、もう地球レベルの汚染になる。
やはり脱原発を目指して、「じゃぁエネルギーをどうしたらいいのか?」という点で、長期的な5年10年掛けてやるものと、すぐできるもの、すぐやらなければいけないものを、短期・中期・長期に分けてやるべきだと思っている。
その詳しい学習会を来月18日に大阪でやる予定。関心のある方はおいでください。これない方は当日の記録をDVDにするので、希望者は書いてね。
とりあえず、即しなければならないことの一つに、節電がある。私は関電が15%節電を言ったことについては、ちょっとムカッと来ている。というのは、
「彼らが言える筋合いのことじゃないやろう」
と思う。散々オール電化やの何だの言って、余計な電力を使わせようとしてきたのに、今ろくすっぽ根拠も示さずに15%と上から言ってくるのは、ちょっとそれは橋下さんじゃないが、「それはいかん」と思う。それはそれとして、私たち脱原発を言う以上は、自分にできることで無駄な電力は使わないことは当然。ずっと前から私自身節電の工夫をしてきた。屋根に太陽光もつけた。大阪ガスにもエネファーム設置してもらい、一生懸命電気を使わない、少なくする方法を片っ端からやってみた。意外とお勧めなのが、一戸建てのお宅だけだが、雨戸をブラインド式に変えること。これはすごくいい。防犯もばっちりだし、風は全開くらい抜ける。普通の雨戸と違う。雨戸はびしゃっと全部閉めるが、ブラインドは風を通してくれる。夜寝るときなどは、昼間でもそうしておけば戸締りはばっちりだし、あけたまま外出できる。あとは、掃除に掃除機を使わないやり方。これはもうされている方大勢いらっしゃるのではないか。普段はコロコロを使う。拭き掃除もいい。あとは洗濯の回数を減らす。日本人は綺麗好きで毎日洗濯する人が多いが、3日に一回でいいじゃないか。あとは過程のアンペアを下げる。私の家は築30年なので、立てた当時のアンペア数が低い。すぐにブレーカーが飛ぶが、そうすると自分で何と何を一緒につかったらいけないかわかるようになる。今の新しい新築の家は、電力会社と工務店がグルになって、高いアンペアで便利ですよと言うが、そんなことしなくてもワンランクすぐに変えられるそうだ。電気料金も下がる。
他にもいっぱいあるが、そういった工夫などをして、みんなで無駄な電気を使わないようにする。
それから、個人でも出来る行政への要望。
例えばエネルギー政策の要望として、太陽光の初期費用が高いため二の足を踏むが、市や府から補助がつけば随分楽になる。そういったことを要望したりする。身近なところでもっともっと行政を動かすことが大事。
最後に、先ほどの署名だが、こういう政治情勢なので、できるだけ早く7月頭にも第一回の要望行動を署名数が例え少なくても行いたいと思っている。是非署名にご協力願いたい。
私たちが今一番しなければいけないことは、やはり
「今回の福島で何を学ぶか?」
次の大災害、ほっておいたら、次は日本が破滅してしまうと思う。これだけはなんとしてでも止めたいと思う。一回目は「そこまで原発が恐ろしいものとは知らなかった」で済むが、2回目はもう言い訳は効かない。
大人ですから、子供たちに言い訳の効かないようなことは絶対にしてはいけない。
次の大惨事を私たち大人が力を合わせて絶対に防ぎたいと思う。
政府はまだまだ。菅さん、だいぶ次々見直しなど始めているが、まだまだ暢気なところがあると思う。もっと急いで。天災は待ってはくれない。
時間になったので以上。

(01:26:20-)
【質疑応答は省略します】

以上です。

ちょっと眠いです・・・。
・・・失礼します。