※この記事は、6月11日原子力損害賠償支援機構の設立へに関連しています。

本当は、この講演、さーっと聞いて流そうと思っていたのですが、私の求めていた内容だったので、ご紹介することにしました。賠償策9項目を踏まえた上で、ご覧ください。

もう一度、貼っておきます。
賠償策9項目は以下のとおり。
 ①賠償金支払に対応する原発賠償機構を作る
 ②原発を持つ東電とほかの電力会社は機構に負担金を支払う義務を負う
 ③機構は、東電に資金の交付、資本増強などで上限を設けず、必要額の全てを援助し、債務超過させない
 ④政府と機構は原発被災者の相談に応じ、機構は東電から資産を買い取る
 ⑤政府は機構に交付国債を出し、政府保証を付けるなど必要な援助を行う
 ⑥政府は一定期間東電の経営合理化を監督する
 ⑦東電は、毎年の事業収益を踏まえて設けられる特別な負担金を機構に支払う
 ⑧機構は、東電を含めた電力会社からの負担金などで必要な国庫納付を行う
 ⑨負担金支払で東電の電力供給に支障が生じる場合は、政府が補助できる条項を設ける
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20110512-OYT9I00139.htm


110617河野太郎・飯田哲也ほか「原発損害賠償機構」が意味すること
http://www.ustream.tv/recorded/15428082  (80:39-)


【以下、時間のない方のために、内容を起こしておきます。ご参考まで】
※できあがったパートごとに、徐々にUPしていきます。 →ISEP飯田所長のパートを追加しました。

【河野氏解説:大きな疑問:東京電力を温存してよいのか 
東電役員・株主・債権者の責任は問わなくてもよいのか】
・・・・私はどちらかというと電力債の一般担保はある意味しょうがないと思う。その次に金融債権以下、横並びで賠償金を入れて、カットされてしまう部分は国が出ていって賠償金は考える。その分は申し訳ないが、電力消費者、或いは納税者に最終的には負担していたでだきますということにせざるを得ないのかなと思う。
ということになるならば、当然、東京電力の役員、株主、一般の債権者は責任を取らないといけない。ということで、普通に破綻処理をすべきだろうと私は思っている。
 いくつか問題があるのは、今実は、東京電力は銀行に借金をせっせと返している。というのは、社債だけではなくて、短期的に借りているお金の融資が結構ある。それをせっせと返している。これをそのままにしておくと、賠償金と金融機関の一般融資は同率ですよといいながら、賠償金は払わずに電力会社の借金だけどんどん返してしまうと、いざ倒産という時に、
「あらかた金融機関には借金が返し終わったが、賠償金だけ残っている。資産はこれだけしかないので、賠償金はコレだけしか払いません。」
ということになる。今まで3.11以降返したものは、破産法の一般原則によっても、「もうだめよ」となってから返済したものは、元に戻せるというルールになっているので、3.11以降の返済は一旦戻してもらう。それから、どこかで国が、「ここからは資産を保全しなさい」と言って借金を返してはいけないときちっと言うのだろうと。借金を返せないと○○○ことは何も出来なくなるので、国がちゃんと資金繰りは保障をしていく。国が資金繰りさえ補償してあげれば、燃料を買って発電所を動かし、電力を供給することは続けられる。少なくとも電力の供給というのは、きちんと果たすことができるはずだ。
 JALの時は、JALは早く処理をしないと、要するに、「JALはもう駄目です」「同じところを飛んでいるんだったら、JAL辞めてANAにしよう」と皆JALに乗らなくなって、ANAに乗るようになっちゃう。今度の東電とJALの一番の違いは、
「東電は、お客さんが逃げられない」
破綻するかもしれないと言っている企業が商品の値段を引きあげるかもしれないという。要するにつぶれそうになったJALが、「借金を返すために切符代を上げさせていただきたい」と言ったら、「勝手に上げてろ」と皆はANAに乗る。しかし、東電は、「いろいろ問題があるので、電力料金を上げさせてもらいたい」と偉そうにふんぞり返って言う。だけど、東電管内の人は「じゃぁ俺は東北電力へいく」とか「関西電力から買うから」とは言えない。
 実は、東京電力の破綻処理というのは、そうあせらなくてもいい。一体全体、賠償金がどれくらいになるのか、廃炉費用がどれくらいかかるのか、ちゃんとめどがたったときに、「これだけお金が必要ですよね。」で、資産がちゃんと保全されていれば、その時に法的処理をやればいい。何もあせって税の負担でやってくださいとか、消費者に負担をしてくださいという必要性が全然ない。ちゃんと資金繰りだけ破綻しないように保障すれば、その資金繰りも、電気代は入ってくる。家1賃を払わない人も、電気を止められてはこまるので、電気代だけは払う。だから、かなり電気代というのは、優先的に入ってくる。東電には、相当日銭が入ってくる。そういう意味を考えても、きちんと押さえるところだけ押さえておいて、資産の保全だけ出来ていれば、全部の債務があらかた確定した時に処理をすることにしても大丈夫。いつのタイミングでこの処理をしたらいいのかは、企業再生の話、賠償の話、いろんな話を勘案して、一番いいタイミングでやったらいいと思っている。
 大事なのは、資産の保全をして、電力の供給がきちっと続くこと。それから、経営者、株主、一般債権者、責任をとらなきゃいけない人間が、その責任を取るということが一番大事なことだと思う。
 最終的には、破綻処理をして、国が国有化して、今濃厚な資産を売却すると言っているが、それも、東京電力を分割して、それこそ発電・送電の分離をちゃんとやり、東京電力ホールディングスみたいなものを作って、発電会社と送電会社に分ける。会社が分かれていても、送電には何の問題もないことを世の中にちゃんと見せる。そして、発電を細かく分割していく。或いは、営業圏を細かい地域ごとに分けて分割していく。そしてそのまま売却をして、入ってきたものを国民負担していただいた分の穴埋めに使わせていただくというのが、一番いいのではないかと思っている。
(06:15-)
 この間、日本のある金融機関から、この問題について説明を受けた。驚いたのは、
「まず国が1200億円まで責任を取らなければなりません。その次は東京電力です。その次は株主です。その次は電力消費者です。最後が納税者です。」
というプレゼンになっていて、なんとなく違和感があって、じっと見ていたら、
「おいおい、債権者入ってないじゃないか!」
「債権は社債と融資、これは全額保護されなければいけません。」
「それは随分都合のいい話だね。なんで?」
「金融恐慌になります。社債が飛んだら大変です。融資が飛んだら大変です。」
こう言うのだが、多分そういうことにはならないと思う。地銀の中でも株を持っているとかいろいろなことを言う人がいるが、もう既に株は200円くらいですか?大体10分の1くらいになっているわけで、もう駄目だと言うなら、金融機関も駄目になっているはず。200円のものがゼロになったからといって、つぶれるような金融機関はない。
 それから、社債市場に影響が出ると言うのだが、某証券会社が、
「河野さんの言うように一旦担保を外すと、多分社債市場ショックが走ります。多分、関電で200ベーシスボルト(?)、つまり金利が2%くらいあがることになるのではないか。これは相当でかい話ではあるけれども、社債市場が崩壊するようなものにはならないと思う」
と言われた。恐らく今5兆円と言うが、最大持っている金融機関でも5000億円だと思うので、5000億が飛べば痛いとは思うが、だからといって金融機関がつぶれるか?というと、潰れることはないだろうと思う。
「融資が飛んだり、社債が飛んだりして、金融機関に大きな影響が出る」というなら、答えは簡単で、
「わかりました。金融機関に資本注入してあげます。」
要するに、
 社債を買いました。
 融資をやっちゃいました。
 経営の判断ミスですよね?
 だから経営者はやめてください。
 金融機関に公的資金を注入します。
 これで問題ないですね?
と言った瞬間に、金融機関は、
「いえ、金融は大丈夫です」(笑)

(08:45-)
東電が法的破綻したら、停電になる?
 これは停電にはならない。会社が破綻することと、電力供給の実務とは別の話。
東電が破綻したら、金融恐慌になる?
 ならない。『資本注入』と言った瞬間に「大丈夫」と向こうから言ってきてくれる。

 だから、ここのところは、きちんと落ち着いて、何が法的なルールなのか、それに基いてちゃんと処理をすればいいということ。
 今度のこのスキームは東電を債務超過にしないということをうたっている。債務超過にしない会社が上場されている意味はほとんどない。債務超過にしない=国有化すればいい話であって、「賠償金も払わなければならない、廃炉もやらなきゃいけない、これから先大変です」という企業を上場しておく意味が果たしてあるのか?というと、それは恐らくどうやっても債務超過になるような会社を上場しておく意味はない。このスキームをどうこうということは、多分忘れていただいて、今日は民主党の方にも来ていただいているので、私が話すより、田沼さんに話してもらったほうが良かったのではと思うが、少し民主党の中で、この政府プランは駄目だと言って、要するに普通の処理をどういったタイミングで、或いはどういったプリパッケージ型で処理をしたらいいのかを専門家に議論をしていただいて、こういう形で処理をして行こうよとやっていけばいいと思う。
(10:35-)
 残念ながら、国民負担なしでいけるかというと、私はそこのところは非常に、どっちにしろこれだけ多額の賠償金・廃炉費用を考えると、「全く国民負担なしです」というわけにもなかなかいかないという風に思っている。だからといって、東京電力と関係ない地域が、「原子炉を持っているからお前も負担しろ」引いてはそこの電力会社から「お前も負担しろ」というのは、少しおかしいだろうなと思う。だからそれは、電力料金で払ってもらうのか、税金で払ってもらうのか、そこは議論の余地がある。消費税でやれという議論もあるが、被災地で家を買うと言うと、いろんなところで消費税が掛かってくるわけで、その時に消費税が上げてあると、被災地の負担が大きくなる。それを考えるとむしろ所得税でやったほうがいいのではないか?とか、そういう議論はある。議論をしなければならないポイントはたくさんある。それは少なくともこのスキームの中で議論する話ではなく、普通の破綻処理の議論の中でどういうやり方がいいのか議論したほうがいいと思う。
以上。

(12:00-)【質疑応答:省略させていただきます。】

(30:10-)
【飯田氏解説:新時代のエネルギー政策に向けて】
(聞き取れません・・・)数枚で手短に話したいと思う。
<そもそもどういう問題フレームか>
 ・起きてしまった事故の賠償
 ・将来の事故の賠償→確立は低いが巨額のリスク
 ・将来の廃棄物処分の責任→超長期かつ不確実なリスク
先ほどタヌキ先生もおっしゃったが、いろんなことがごちゃごちゃになりすぎて、今起きてしまって継続してる事故と、今後将来起こりうる事故をどうカバーするのかということ。つまり確率は極めて低いけれども、今回あきらかになっている巨額な損害賠償が生じる問題をどうするのか。もう一つ同じような種類で考えておいたほうがいいのは、廃棄物の処理。精々40年くらいしか運転しない原発が数百年、下手をすると数千年、数万年先のコストが生じてくるリスクを一体どうやってカバーするのか。これまでのレコードを見ると、3倍、10倍とざらにコストが上がってきている。放射性廃棄物処分を中心とする部分を(よく聞き取れないです)ではないかと思う。
 <起きてしまった事故の話>は、先ほど河野さんや○○さんがおっしゃったとおり。

↓責任の大きい順↓
  東電本体   
   株主
   債権者
国(原発埋蔵金)
  国民(税金)
電気料金×スジ違い

とにかく東電本体と、株主、東電本体が株主なんじゃないかという指摘もツイッターでは議論されたが、しかし役員が未だに報酬を取ってたりして、株主にいっていないということもある。債権者は、河野さんがいくつか議論されたとおり、若干保全される部分も一部あるかもしれない。国といってもまずは事業仕分けをきちんとやり、原発埋蔵金がある。特に再処理等の積立金が一つ。もともとは電気料金だった。もう一つは電特。電特には3000-4000億円/年間のお金が流れている。ただちにこれを切るわけにはいかないのが、そのうちの特に文科省にいっているお金=もんじゅと日本原子力研究開発機構、ここのお金と人は、直ちに別の目的に使うべき。この後話す。それでも足りなければ、国民の税金という形になる。電気料金は、そもそもスジ違い。
 大きく考えなければいけないことは、4つある。
<今後の措置について>
  ①福島第一原発1~4号機の「廃炉」
    ・・・というよりも数百年に及ぶ事故処理
  ②安定供給
  ③将来の電力市場の制度設計
    ・・・イノベーションと成長のプラットホーム(公共財)として
  ④原発の無限責任保険

先ほど河野さんが廃炉の話をされたが、①他の原発の廃炉はともかく、1~4号機についてはチェルノブイリの例から見ても、今後も続く事故処理として数百年覚悟しなければならない。ここは損害賠償から切り離して、国家管理にするしかない。直ちに国家管理にするしかない。この時に先ほどの4000人の人員がいて1700億円/年間の予算を持っている原子力研究開発機構の予算の大半をここに当てる。余分なお金を追加でここに出すなどという余裕は、この国にはない。もちろん減らしてもいいのだが、大した研究をやっていないロクでもない組織を事故処理部隊の中心になってもらう。指揮は取れないと思うが、いろんな事故処理の中心のお金と人員は、放射能のモニタリングにしたって、まともなことができていない。もっと緻密なリアルタイムで周辺の土壌モニタリングだとか、地下水・海・大気等ももっとリアルタイムで詳細なものを打さなければならない。そういったことも含めて、ここは直ちに国家管理に持っていくべきだと思う。
②安定供給は、損害賠償と早々に切り離してしまったほうがいいと思う。それを前提に③将来の電力市場の制度設計をしていく。イノベーションと成長のプラットホーム(公共財)としての送電、或いは電力市場のあり方をきっちり議論して、安定供給の一時的な国有化を経て、新しい民せつ市場へ持っていくという二段対応がいいと思う。
(35:40-)
<将来的な東電の解体イメージ>
 とにかく、東電は電力需給と関係ない損害賠償用の箱にする。当然、上場はただちに廃止。そのかわり電力供給に必要な資産は、すぐ分割をして、一旦国有化をして、いわゆる損害賠償とは綺麗に切り離したほうがいいだろう。このときに福島1-4は、国家管理にして、いわゆるチェルノブイリ型にもっていく。
 やはり電力市場の制度整備は時間がかかるので、1-2年かけてきちんと法制度を整える。民間に、発電販売事業と送電事業に分けて、できればその時、送配電事業は、他の東電以外の発電力の送配電部門は、新しい法制度に沿って会社分割をしてもらう。分割した後で一社統一していく。これできれいにして売ると、恐らく売却益が出てくるのではないかと、(それはまだわからないが)その場合は、それを国へ戻し、お釣りがくれば損害賠償へ持っていくこともできる。これは一つの提案にすぎないが…。
(37:00-)
<今後の原発は無限責任保険>
 もう一つ、将来の負担をどう取るかということで、私は基本的に「無限責任保険」、面積のない無限責任保険、できるかどうかはともかく、○○であれば、20-30兆円のそういう保険をデザインすべきではないか。オランダの研究機関がフランスの原発を対象に試算したら、無限責任保険で5円/kw、ドイツで13円/kwくらい。いわゆる各電力会社が昔の体質ではなく、きちんと制度設計された無限責任保険、まぁ保険会社ができるかどうか検討しなければならないが、基本的には地震保険と同じCATボンドで出来ると保険工学で聞いている。それがもし2次保険も含めて、ロイズなどが引き受けるなら、そういう保険をデザインする。他の事故を起こしていない原発は、すべてこの無限責任保険に強制加入させる。それでは、原発のコストが割りにあわないということであれば、自ら閉鎖をしていくことになるだろう。できれば無限責任保険に、全くのチャレンジングだが、廃棄物で後日必要になった時に、無限はできないかもしれないが、数百年-5百年くらいの間、後でお金を支払う仕組みができればなと思う。できなければ、結局、国が払うしかない。廃棄物が、要は原発が利益を生み出さなくなっても、支払わなければならない状況になった時の保険というのも検討課題としてあってもいいのかと思う。
 あとはいつも出すデータだが、原子力はもう無くなっていく。その前提に立って、新しい電力市場は、自然エネルギーを中心とする、短期的には天然ガスが大きな役割を果たすかもしれないが、とにかく、電力市場をイノベーションプラットフォーム化し成長のベースにする。そういう未来に向けた制度設計を作る必要があると思う。
 後はいろいろごちゃごちゃとあるが、いつも説明しているので、省略する。
ありがとうございました。
 
(39:40-)【質疑応答:省略させていただきます】

以上です。

失礼します。