(01:12:30-1)
(澤井氏)TVの影響で測定の依頼が出てきたそうだが?
(木村氏)TVじゃなくてTVの前から来ている。あれは3000kmとTVでは言っていたが、4000km強走っている。5000kmくらい走っているのではないか。福島県を走っている。実は会津地方も測っている。会津若松は、お城周辺が高いだけで他はそれほど高くない。
(澤井氏)なぜお城周辺?
(木村氏)芝生で吸着されるし、アスファルトだったら雨で流れる。土がむき出しのところは吸着されやすい。確かにGWに行ったときに0.35μSV/時くらいだった。城の中で。ただし、周りは0.1とか0.2μSV/時くらいだったから、人が住めないというレベルではなく、比較的高い地域ではあるが、問題はないと僕は感じた。さらに喜多方市周辺も調査し、最後に確認のため山形の米沢まで行ってきた。そこまで全部調べて、喜多方はバックグラウンドのレベルである結果が出ている。そこの土壌調査してもほとんど大丈夫。こういうことを実際にやってきた。
福島県でも安全な地域があるんだと。風評被害が非常に大きい。唯一の被爆国であるにもかかわらず、風評被害をすぐに科学的根拠もないまま言うという心無さ、これが日本人として一番恥ずべきところと考える。福島に行ったら、福島の方々が言う。
「東京などに行くと、『放射能浴びてるかもしれないから帰ってくれ』」
ということを言われるそうだ。
(澤井氏)お店もいれてくれない
(木村氏)はい。こういうことを現地の人が言っている。日本人はある程度の学識レベルは高い。いろいろな国々を見てきているが、その中でもかなり高いほう。そういうレベルの人たちが、そういう風評被害に惑わされていること自身が自分たちで恥ずべきだと反省に思ってほしい。風評被害だけでなく、どれだけこの人たちは実質苦しんでいるのに、風評被害まで入れてしまっては、彼らの行き着くところはないじゃない。彼らに死ねということか?と僕はつきつめたら考えてしまう。そういうことを言う人たちには、もう少し冷静な判断をしてほしいと思う。
(01:16:25-)
(澤井氏)科学的にちゃんと裏付けて、汚染が高いところは高いと言うし、低いところはちゃんとバックグラウンドになっていると言う。
(木村氏)そうです。高いところだけを測るのが研究者に見えがちだが、そうではんくて、僕の立ち位置は、
「低いところは低い、低いからこそ大丈夫だ」
例えば、僕が提案しているのは、福島地域の子供たちに対しては、サマーキャンプとか、チェルノブイリでは保養というが、そういう保養としては、わざわざ他県に行く必要はない。同じ県内で綺麗なところがあるのだったら、親も心配なら着いていけるし、週に1回は会いに行ける。そういう地域に行かせるべきだと思う。県内でできることは県内でやっていけば、お互いのためになる。そういう試みを行政に提案している。できるだけそういうふうにしてくださいと言っている。遠くに行って新天地でやらなくても、自分の知っている住み慣れた福島県の中で、そういう地域を使う。お互い持ちつ持たれつでやるのが一番いいのではないか
(澤井氏)今福島の20mSVの問題で、校庭の問題など出てきているが、あの対応をどう見るか?汚染の高い校庭の土などを除去するのは?
(木村氏)賛成です。表層から5cmまでが高くなっている。調査で出ている。10cmあたりまで最大濃度が移行している地域はあるが、校庭等であれば、5cmくらい剥ぎ取ったものを原発に持って行けばいい。
(澤井氏)ひっくり返すのは?
(木村氏)絶対やめたほうがいい。それはチェルノブイリで失敗してきた。ひっくり返せば、確かに見た目の放射能濃度は下げられる。しかし半減期30年のセシウム137が地中にどんどん浸潤していき地下水汚染になる。セシウム137は今回非常に量がすくない。ストロンチウム90は特に水と親和性があるのでどんどん下にいく。10年後くらいから、チェルノブイリ地方で地下水汚染が出ている。それは非常に気をつけてほしい。僕はひっくり返すのは反対。
(澤井氏)はがしたものを置く場所がないことから考え出されたのではないかと思うが、安易にひっくり返してしまい、見た目だけ下がればいいという対応は、基本的にははがしてどこかへ持っていくしかないということ?
(木村氏)そういう対応は好ましくない。持って行くしかない。チェルノブイリでも同じように、原発周辺に持っていくこと、これ以上に汚染が広がることはないから。逆に言うと、今表層度を剥いでいるのは、ものすごく低濃度レベルの放射性物質の話。そこへ持っていくのがいいと思う。
(澤井氏)今比べ物にならないくらいの状態になっているし、人が居てはいけない場所になっている。
(木村氏)それを集めて、石棺なりなんなりするときの土嚢にしてしまえば、一挙両得だと思う。
(澤井氏)ひっくり返すのはすごく問題ですね。
木村氏)僕はあまり良いとは考えていない。すごく難しいところ。一時保管場所的には、下にビニールシートを敷いて土嚢を埋めていくことはできるかもしれないが、袋は土壌細菌で分解してしまうから、そうなったら意味はない。
僕だったら立ち入り禁止ゾーンにロープを張ってそこに集めていく。いくつか分散させてやるのはいいかもしれない。
(澤井氏)今セシウム137の話があったが、もう時間が経ったのでヨウ素は心配ない。半減期30年のセシウムが一番・・・
(木村氏)逗留で同じ量で大体セシウム134と1:1の割合だが、セシウム134は半減期2年だから、これが今支配的に強い。
(澤井氏)それでも長い。
(木村氏)今だったら1000分の1以下にヨウ素131はなっているので、セシウム134がほとんど支配的になって、支配が終わるのに10年かかる。それを考えたら、10年間は両方混在していると考えたほうがいいだろう。
(澤井氏)皆さん、半減期がわかりづらいと言われているので、例えばセシウム137は半減期の時間を越えてその先どうなっていくのか?
(木村氏)セシウム137は30年でコップ一杯なみなみ注いでいると、飲み干して半分になるのが30年かかる量。
(澤井氏)消えた半分の放射性はどういうふうになるのか?もう心配しなくていいのか?
(木村氏)それは見てみないとわからない。というのは、本で調べられることは覚えないようにしている。
(澤井氏)ただ時間の長いものはもっと時間が掛かっていく?
(木村氏)そうですね。超半減期核種はプルトニウム239は2万4千年かかって半分になって・・・
(澤井氏)それは人間にとって半永久的ということですね。
プルトニウムが出ていたと報道があったが、そうするとそれ以外の放射能もそれなりに出てきているのか?
(木村氏)放射能レベルで言うとプルトニウム239はかなり低い。gやkgあたりで言うと、0がいくつもつくような小さなベクレル数であり2万4千年で一回しか分裂しないと言っているので、放射能を出す割合も低い。プルトニウム236は半減期18年だから、分裂回数が多い=それだけ放射線が出やすいので、同じベクレル数であっても放射線が出やすいと言える。半減期が短いほうが怖いということはある。
(澤井氏)これからも調査なさっていくと思うが、ホットスポットを見つけて住民の方と話されているところを見て、本当に大変なことになっていると私たちは感じている。住民が木村さんに測ってもらい、「ここでは暮らせないんだ」と判断されて動かれた場所が何箇所かある。そういう時は科学者として「ここは暮らすべきところではない」とそういう判断で話されているのか。
(木村氏)というか、事実しか伝えていない。事実を淡々と伝えるしかない。個人的な意見は出来るだけ控えて、今の状況を伝え、(今日本ではきちんとした基準が設けられていないので)僕の調査対象であるチェルノブイリを基準として、「チェルノブイリではこうですよ」「チェルノブイリの汚染レベルではここは健康監視区域」「ここは権利を有する移住地域」「義務的移住地域」「緊急避難地域」という形で4段階に分けられている。そこを基準として話をする。
(01:27:00-)
(澤井氏)やはりここは出て行くほうがいいという場所はこれから相当出てくるのか?
(木村氏)測ってみなければわからない。これが一番たいへんなこと。これからは私は方針を変えていこうと思う。今までは一人で全部やってきた。無理です。もう限界です。知恵を振り絞って考えたが、市民レベルで教育していこうと思う。しかも全員に教えていくことは無理だから、有志の方々を集めて10~30人くらい呼んで、放射線の概念を教えるのと、測定方法の仕方を統一させる。それを知った上で
「皆さんで測ってください。測って、ただしこの数字は信用しないでください。あなた方の持っている測定器ではたとえ日本製であっても、セシウム137でしか捕らえていない。他の放射性物質に対するキャリブレーションは、やっていないので数値は正しくない。これはスペクトルピークというものを測って、そのピーク面積を取ってそれから、きちんとした線量をだす。そういう作業が入る。だから目安としてみてください。目安として高い、ただしその高いの基準を僕は1μSVと決めている。」
1μSVがどういうものかというと、1平方キロメートルあたりセシウム137の汚染であれば、1キュリーのところが1μSVと大体同じくらいになるらしい。1キュリー=3.7×10の10乗ベクレル。これを超えているか超えていないかで判断をしている。ただし、限りなく近かったら個人判断と伝える。0.99キュリーのところは大丈夫なのかと必ず聞かれる。「自己判断に任せる。限りなく近いと思ったら出て行っていいと思う。」としか言いようがない。ただし、行政の補償と言うお金の関わるところについては、どこかで必ず線を引かないといけないので、その線を引くことに関してはいた仕方ないと思う。そうでなければ、先へ進めないという現実問題があるので、現実を受け入れるしかないと思う。
6月5日の今中さんの放送の中で、これからは汚染地域に暮らしていく、共生していくという概念が出てきたので、「どうやってうまく付き合っていくか、これをかんがえていかなければならない」と今中さんはおっしゃった。本当に僕もそう思う。共生していくにはどうすればいいか、小さなことでも本来は確かめてから伝えていくが、僕はもうそういう時間も余裕もない。ただ僕だったらどうするか、僕が子供と妻に対してどうするか、その基準でしか言えないが、そういうふうに伝えていっている。
(澤井氏)やはりチェルノブイリのように相当に汚染されているので汚染土の除去をやっていくしかないのか?
(木村氏)汚染土の除去は限度がある。僕はもう無理なところは無理だと思うし、
表層5cm取れたら農作物がちゃんとできるかというと5cm以下がゼロであるならいいが、もう浸透してきたもの、もう一つは僕が5月30日から6月4日までチェルノブイリに行ってきた。2年前から汚染地域の健康調査をしてきているが、さらに分析を進めていくためのデータ集めのために行ってきた。ただ、それだけではなくて、福島に対して何かフィードバックできないかと。今の初期の2ヶ月間くらいで、どうしたら放射能汚染や被曝の軽減できるかを聞いてきた。それもきちんとやるためには、先陣の知恵を借りる。
まずは小さいお子さんに対しては、外から帰ってきたら、必ずシャワーを浴びること。家の中に放射性物質を持ち込ませない。国として方針が出来たり、地方自治体でできることは非汚染地域から子供たち専用の食事をまかなう。チェルノブイリはそうやってやってきた。1日3~4食分位を補償として非汚染地域から送る。できるだけ汚染地域から近いところでの乳製品とかは避けるべきである。
そういった簡単な話だが、そういう話を聞いてきた。
僕としてもこれから暑い季節だが、汚染地域で暮らすのはお子さんたちには再浮遊を止めるためのマスクは必要。できるだけ内部被曝を抑えたい。そういう気持ちがあるなら、マスクは着用すべき。
(澤井氏)子供用の活性炭五層マスクですか
(木村氏)いらない。もうヨウ素は通り過ぎたので、ヨウ素だけであれば、花粉症のマスクでいい。昔の洗って済ませるタイプやガーゼのものでもいい。とにかく粉塵を身体の中に入れない。粉塵に吸着したセシウム137を取り込ませないことが一番大切ではないかと思う。あとは手洗いうがいの励行。もしそれをきちんとやってくだされば、インフルエンザなどの予防にもつながるし、一挙両得なのできちんとしてほしい。特に爪がこわい。土いじりして爪に入った土は爪洗い用のブラシなどがあれば、非常にいいだろう。
(澤井氏)子供にそういう習慣をつけるということですね。
(木村氏)そうです。ただ洗いすぎたら、今度は油が取れすぎて、湿疹やアトピーの元になりやすいので、過敏症になってしまう。手洗いをしたあとにハンドクリームをつけることを忘れなければ、確実に手あれもしない。
(澤井氏)お子さんは土にまみれてしまうので、シャワーや手洗いは重要。
(木村氏)そう。僕はシャワーと言われた時、やはりすばらしいと思った。僕は気づかなかったが、
(澤井氏)頭はやっぱりアレですか?
(木村氏)頭はね~、そうだと思う。やはり肌を露出する季節になるので、シャワーを浴びることは衛生面からしてもいいのできちんとやることで、予防につながる。内部被曝予防につながると僕は思う。
(01:36:45-)
(澤井氏)内部被曝について、今わざわざ給食に福島産を食べましょうといった形で反対に子供たちに食べさせようとする動きが出てきてしまっているが、やはり子供には非汚染地帯で作られたものを優先的に食べさせる。
(木村氏)そう思う。僕が汚染調査した中で、会津地方は綺麗なのだから、会津地方は風評被害で困っているから、そういう人たちと手を結べば、より綺麗なものをしかも県内で循環システムができると思って、かえってそういうのがいいのかと思っている。
(澤井氏)チェルノブイリの時もヨーロッパがお店で肉や野菜に汚染のレベルを表示して売ったというのがある。やはり日本でもそういうことをやっていって
(木村氏)そうですね。できればそういうことをやっていって、商店主が一人でやるのは大変なので、どこか商工会議所で測定器、いい加減なものではなく、きちんとしたものを置いて、ベクレル数はいくらかと計測するような形をとったりすることが大切だと思う。
(澤井氏)判らないのでむやみに避けたい感じになっている。
(木村氏)そうです。
(澤井氏)やっぱりこれはこれだけの汚染だと表示してもらい、子供には与えないようにするための判断根拠がないので、皆非常に悩んで混乱しているのではないか。そのへんはきちんとしたほうがいい。
(木村氏)そう思う。さらに言うと、日本でおかれた基準が・・・。例えば僕がいわき市で聞いたのだが、食肉牛を飼っている酪農家から、牧草を刈り取る時に牧草は大丈夫か検査に出す。僕も刈り取って分析をした。すると国が定めた基準では2000ベクレル/kg。食肉用の牛です。2000ベクレル/kgまでの牧草は食べさせてもよいと・・・。どこから来たのか!?
(澤井氏)そうですよね。すごく濃縮しますよね?
(木村氏)と、思うんだが、それを「俺ら農協から言われてさ~、調べてさ、食わせていいって言ってんだ」ってほんとかよっと思った。でもそういう話。僕もどこが出所なのか調べる時間が無くてできていないのだが、そういう話を聞いて、本当にそれでいいのか?怖いですね。
(澤井氏)怖いですね。それはすごい濃縮になってしまう。
(木村氏)ただ、チェルノブイリだったかヨーロッパだったか、先日聞いた話だが、セシウム137の生物学的半減期が100日なので、出荷1ヶ月前から汚染されてないものをたべさせていけば、半分に減る。それをもうちょっと長くすれば、4分の1くらいになる。
(質問)それは実際にやった?
(木村氏)やったらしい。そういうことをすれば、まだやっていけるのかと思う。
(澤井氏)農業とかいろんなことができていく。
(木村氏)実は僕はウクライナ・ジトーミル農業エコロジー大学というところで、ナタネを作付けしようという試み、日本でも取り上げられたニコライ・ディードフさんという方が実はカウンターパートナーなんです。日本のTVの取材がきて大変らしいが、ディードフさんに農業やってる方にアドバイスはあるか?と聞くと「汚染地域でまだ作付けしてないところは手をつけるな。表層をはがしたらまだ使えるかもしれない。でも一回耕作してしまえば、汚染が中にまで浸透してしまい、手のつけられない状況になるので、それはずっと使えなくなる」といっていた。だから今であれば、まだ対応策が取れる。
(澤井氏)先に除去してから耕す
(木村氏)はい。ただし、これはウクライナのジトーミル州であって、土壌は日本とは違うので、それはきちんと測ってからなのだが、アドバイスとしてはこういうこともある。
(澤井氏)そういう意味でもチェルノブイリでの経験は、私たちもっと学ばないといけない。
(木村氏)はい。ものすごく大切であるし、チェルノブイリというものをもう一度きちんと見直して、今我々が何をすべきか、すべて彼らの経験として残っている。それを全然フィードバックさせていない。それっていうのは非常に情けないこと。何の反省もしていない。対岸の火事だというように見ているというのがね、唯一の被爆国である国で育った上で、その知識を持っていないというのは、やっぱり良くないんじゃないかと思う。
(澤井氏)やはりもっともっとチェルノブイリから学びましょう。

【以降質問】(01:44:00-)
気になったところだけ書き出しておきます。
・不安を煽ることを止めるということはあからさまだった。マニュアルどおりで放影研時代は自分もそう思っていた。でもそんなに市民はばかじゃない。机の上で研究しているとそういう考えにならない。情報の出し方は難しいが、出すべき。避難基準を設定していなかったので、同心円の対応はしょうがないと思う。郡山で教師していたが、教育委員かいで原発事故のための退避訓練をしようと提案したら、逆に原発に事故は起こらないと言われて不信感に陥り教師を辞めた方もいる。
・植物は空間線量2.5倍で反応する。
・研究者になるより先生になりたかった。教えることに対しては自分なりに努力してきた。
・僕は講演などは福島県ではできるだけ受けるようにしているが、理想は20~30人の規模。理由は対話ができる。聴衆とのキャッチボールができる人数。一方向だけでは怖すぎる。視聴者側の捕らえ方で如何様にもなる。Max100人程度。大きなところはイヤですと言うが、こういう問題はきちんと対話をしなければ誤解がおきやすいので双方向でいたい。CNICが正しい試みをしていることに対して、やっている行為を評価しているので、敢えてこうして出演させてもらったが、メディアは選んでやっている。全てを受けるのではなく、きちんと志を持った方々に対しては誠意を持ってお付き合いしますが、ただ「おもしろいから。時の人だから」といって伝えられるようでは僕の本意ではない。時間は困っている現地の人のために使いたい。

【以上、長文お疲れ様でした】

・・・失礼します。