本日も小出先生がたねまきジャーナルでコメントされましたので、ご紹介します。
一度格納容器から出てしまった放射性物質は、半減期以外に消滅はしません。どういう状態で保管するか、しかないですね。
それが、汚染水なのか、汚泥なのか、海へ流れてしまうのか、それとも私たちの身体に入ってくるのか、そういうレベルの話です。
どうぞお聞きください。

【福島原発】6/13/月★放射性物質その物自体消えることは無い (8:27)

【以下、時間のない方のために、内容を起こしています】

福島第一原発事故で、水道水から放射性物質が検出された問題で、厚生労働省の検討会が「新たな大量の放射性物質の放出がなければ、今後水道水の安全に問題が生じる恐れは少ない」とする報告書をまとめたと発表。
「これから水道水は安全です」ということだが、半減期30年の放射性セシウムの影響が心配されていた。今の浄水処理で除去できるということになったが、これは大丈夫なのか?

(小出氏)放射線の被曝と言うものに関して、「安全・大丈夫」という言葉を使わないでいただきたいと思う。国が決めた基準値はあるが、「基準値より上だから直ちに危険がある、基準値より下だから直ちに安全である」というようなものではない。被曝はどんなレベルでも危険と思わなければいけない。
ただ、今回の事故の場合には、3月中ごろに大量に放射能が出てきて、それによって水道水も汚れた。今後、大量の放射能が出ないようなことに収まってくれるなら、3月の中ごろにあったひどい汚染は、多分ないとそういうこと。

今、梅雨の時期なので、雨で放射性セシウムが川に流れこんで濃縮するということは考えられるか?

(小出氏)ありますが、原子力発電所からセシウムや大量に(ストロンチウムもそうだが)出たのは3月の中ごろの爆発が何度も起きた頃。東京周辺も汚染された。これからもし空気中への大量の放射能の放出がなくできるのであれば、水道水が今まで以上に汚染されることは、多分ないと思う。
ただ、それは安全とは違う。

浄水処理で放射性セシウムを除去できると厚生労働省は言っているが、これは沈殿させるということだと思うが、すると沈殿した泥は放射性物質で汚染されたままになりますね?

(小出氏)そうです。今度は汚泥のほうにセシウムが行くので、それをどうするかが問題になる。

今、原発の汚染水について、最大の問題だと言われている。この汚染水の処理システムがまもなく稼動といわれている。ここでも放射性物質の入った泥が出ることになりますね?

(小出氏)いずれにしても、放射性物質そのもの自体は決して消えない。どこかに移すという以外にない。水が汚れていたものを綺麗にするなら、放射性物質自体は別のものに移して取るしかない。取ってしまったものはどうするのかというのが次の課題。

取るといっても、この汚染水から集められた放射性物質の泥って1立方センチメートルあたり1億ベクレルと聞いている。これは人の身体にどのくらいの影響があるのか?

(小出氏)そこに近づいたら、すぐに急性の症状が出るくらいの放射性物質。

それが汚染水の処理で20mプールの4~5杯は出てくると・・・

(小出氏)そうです。どんどん出てくる。

それ、でも、保管するって言っても、東京電力は集中廃棄物処理施設に一部を保管するつもりだとあるが、そこできちっとした保管を続けていくことはできないですよね?

(小出氏)もちろんできない。これから何十年、何百年という長さできちっと保管をしていかなければならない。今暫定的に、集中廃棄物処理建屋に移動したとしても、それで終わりではない。これから本当にどうするのか、長い長い仕事が残る。

少なくとも何十年、何百年という単位で、この汚泥は保管していかなければならないんですね・・・。

(小出氏)そうです。

(司会者、ため息)気の遠くなるような話ですが・・・。
それからもう一つ、先ほどのニュースの中で、先日ヨーロッパのドイツが脱原発を決めたが、イタリアでも福島の原発事故を受けて以降、世界初の国民投票、国民審判で、原発を拒絶する可能性が非常に高まっている。小出さんはこの動きをどうご覧になるか?

(小出氏)嬉しいです。

やはり、そういう動きがヨーロッパでも起きてきたというところですね?

(小出氏)はい。

ドイツ、イタリア、スイスでも動きが出ているということだが、週末に全国で反原発デモの運動があり、先生も神戸へお出かけになって、先生が登場した際に、ものすごい大きな拍手が沸きあがっていた。手ごたえのような、所謂「反原発・脱原発」への感触はあったか?一般の市民の方々の思いというのは?

(小出氏)私は40年前から原子力を廃絶したいと思ってきた人間。これまで結局できないまま、福島原発の事故を防げないまま、今に至っている。あまり楽観的な見通しをしたくない。だが、確かに何か違ってきているというふうには思う。今までは労働組合運動や何か組織の運動があった。これらが続いてきてもちろんありがたいと思っている。しかし、そうではなく、先週末の集会でも、「この人たちはどうやってこの場に来たのだろう?」というように、一人一人が自立して選択してきて、この場にいる。これをとても新鮮に思ったし、ありがたいとも思った。

もう一点だけ。福島県の大熊町で微量のキュリウムという物質が検出されたとあったが、これはどんな物質?

(小出氏)超ウラン元素と呼ぶ一群の放射性核種の一つ。ウランが中性子を吸収すると、プルトニウムになるが、そのプルトニウムがさらに中性子を吸収するとキュリウムになる。次々と新しい原子核が出来ていく。だから使用済み燃料の中に溜まっていたかなり出にくい放射能、揮発しにくいし、水にも溶けにくいというものまでが、既に環境に出てきてしまっていることを示している。

かなり出にくい放射性物質が、もう環境に出ていることを示しているのが、このキュリウムなのですね。

(小出氏)そうです。

ありがとうございました。

【以上】

失礼します。