これはオンタイムで見ていました。
最高で3500人ほどの視聴があり、ツイッターでも盛り上がっていました。
是非みていただきたいので、ご紹介します。

①110607小出裕章助教インタビュー1/2
http://www.ustream.tv/recorded/15220732 (11:46)
※①は音が非常に悪いです。

②110607小出裕章助教インタビュー2/2
http://www.ustream.tv/recorded/15220874 (68:38)

【以下、内容をおこしていますので、時間のない方、ご参照ください】
(岩上氏)前回のインタビューから1ヶ月経ちました。早速ですが、前回話を聞いた時に原子炉のジョリプロ?というものをどのように分析するかということを細かく教わった。なぜ今の原子炉の情報が一部溶けているかも、(雑音)1m40cmだったか70cmだったか燃料棒が水面より上に露出している、一部は水面下にあるというように発表されてきた。だから、恐らくはそこで安定しているということは、注入している水は脇のほうの配水管から何らかの形で漏れているのではないか、こういうような分析をされていましたね?

(小出氏)そうですね。

(岩上氏)ところが、その2日後の5月12日、東電のほうからメルトダウンしていると、1号機はしかも炉心が溶けてしまっていると、衝撃的な内容が発表された。今までの発表は何だったのか?ということになった。その後も、ぐずぐずと2号機3号機は、炉心溶融状態にあるのではないかというようなやりとりがあった挙句、昨日、解析の結果、2、3号機もメルトダウンしていると保安院が緊急会見で発表した。緊急にする必要もないのに、そのために我々は(雑音)。
このような状態にあると(雑音)実はお電話差し上げたのですが、怒っていただいて当然(?)
(雑音)どのように思われましたか?

(小出氏)私たちのような人間にとっては、一番大切なものは「正確なデータ」。正確なデータがなければ、いくら推論を重ねたところで間違ってしまう。岩上さんもきちっと整理して発言してくれたが、5月の初めまでは1号機の半分までは水があると、ずっと東電は言い続けてきた。格納容器内の放射線量から推定しても、炉心はの損傷割合は70%とか55%とか言っていた。それを考えると私は炉心のまだ半分は生き残っているというように推論を立てた。半分水があるということは、再循環系の配管に穴が開いているのだということを、皆さんに伝えた。ところがいきなり水位計を直したら、「炉心には水が全くありませんでした」という推定になったし、「原子炉全体が既にメルトダウンしてしまっています」と言い出した。それなら一体今までのデータは何だったのか?炉心の損傷割合も70%、55%と推定してきたのに、この推定は、東京電力にとってどういう根拠で、どこが間違っていたのかをまず言わなければならないが、それを何もいわないまま、ただ単に水位計を調整しなおしたら、「今度はメルトダウンです」という。もう本当にこういうようなやり方で、データを変えてしまわれると、私としてはどんな推論を重ねたところで無意味だというように思える。これからも、今日の記者会見があって、「全然違っていました」と言い出しかねないなというほど、私は疑っている。昨日も、保安院が2号機3号機もメルトダウンしていたと言ったそうだが、一体どういう根拠を元にしたのかということもわからない。シミュレーションをしたとか言ってるが、そんなシミュレーションは今までだってできたはずで、東電が公表している2,3号機の水位計のデータというのは、未だに炉心の半分は水に浸かっているというデータしかないわけだから、一体どのような整合性のある説明ができるのか、私にはさっぱりわからない。

(岩上氏)1号機に関しては、建屋に入って、今まで接触できなかった計器類に接触できるようになって、それで改めてわかったという一応の説明があった。
2,3号機の今回の件に関しては、新たなデータの発見がない。そうすると、これまでの既存データの読み解き方を変えたと、そういうことになるのか?

(小出氏)そういうことになる。ただ、どこをどうやって変えたのかを説明する必要が保安院にはある。それをなしに「メルトダウンしていた」と言って、マスコミも一斉にそれに飛びついて「2,3号機もメルトダウン」といっている。私はむしろメルトダウンしてしまっているならまだ安心だというくらいに、思っている。メルトダウンが起きてしまったときに、原子炉圧力容器の中で
水蒸気爆発が起きることを一番恐れていた。幸いなことというか、まだ事実として水蒸気爆発は起きていない。今後、もしメルトダウンが起こるという可能性があるなら、まだ水蒸気爆発の可能性があると覚悟しておかなければならない。しかし、保安院は。それより「全部メルトダウンしてしまっている」と言って、それが本当であれば、私が恐れてきた水蒸気爆発は、少なくとも回避したと・・・。

(岩上氏)ここはちょっと重要なポイントなので、詳しく聞きたい。メルトダウンをしてしまった、その仕方によって、水蒸気爆発が起こる場合と起こらない場合がある。今回の場合、もし保安院と東電を信じるなら、今回の溶け方は、水蒸気爆発を起こさないような溶け方であって、

(小出氏)少なくとも起きなかったわけだから、そういう溶け方をしたということだと思う。

(岩上氏)この違いは?

(小出氏)水蒸気爆発は、比較的少量の水の中に大量の溶融物体が落下すると起きやすい。逆に大量の水があるようなところに、少量の溶融物体を落としても、爆発現象にまでは至らないと思う。圧力容器の中にまだそれなりの水があるということであれば、炉心が少しずつ流れ下っていけば、水蒸気爆発にはならない可能性もあるし、恐らく東電や保安院が言うように「既にメルトダウンが起きて」しまっているというならば、まだ大量の水があるところに溶融体が落ちていったということで、水蒸気爆発を回避したのだと思う。

(岩上氏)これは残念なことだが、東電や保安院は恣意的かどうかは別にして、間違っている可能性が常にあると疑っていい。(そうですね)もし、間違っていたのなら、どのようなことが考えられるか?

(小出氏)今、新たに東電・保安院が全部メルトダウンしてしまったと言い出しただけで、その推測が間違っていると、従来の彼らの説明がまだ生きているということ。つまり、炉心の半分にはまだ水に浸かっていて、まだ下半分形残っていると。上半分は燃料棒被服管のジルコニウムが水と反応して、大量の水素が発生して水素爆発を既に起こしたし、その反応してしまった被服管のところがグズグズになって崩れ落ち、炉心の下半分のまだ形があるその上に崩れ落ちたままたまっているというのが、推測だった。これから例えば外部からの水の注入量が少なくなってしまう、どこかの配管が敗れてしまって入らなくなってしまう、或いは逆に原子炉圧力容器のどこかにもっと大きな穴が開いていて、流れていくほうが多くなってしまうということになれば、今まで炉心の半分まで水があったものが、だんだん水位が減っていく。そのときに、一気に大量の炉心がジルコニウム水反応が起きて、発熱反応し、一気に原子炉が溶けるということになると、それがメルトダウンして、まだ圧力容器の中に残っている水と接触した時に、水蒸気爆発が起きるという可能性は、私はまだあると思っている。それが、私の最悪のシナリオだったわけだし、なんとかそれだけは避けたいと願っている。
現在東京電力が、大変な被爆をしながら作業の中で、未だに注水作業を続けざるを得ないのも、その可能性を否定できないからだと思う。

(岩上氏)今回、この一ヶ月の間に、ダラダラと(雑音)、一つがメルトダウン。あと二つある。
もう一つは、圧力容器あるいは格納容器に穴が開いていること事態は認めている。しかし、もしかしたら漏れているかもしれないとオブラートに包んだ表現だった。まだ本格的に認めては来なかった。ところがこれを認めだし、結局1~3号機までみんな穴が開いている。しかも損傷は、メルトダウンもそうだが、・・・・

(②へ)
(小出氏)(おそらく水棺について)私は最初からそんなものできっこないと、言ってきた。格納容器に穴が開いているのだから、水を入れようとしても漏れてしまって入らないと。東電は「やってみたが、やっぱり入らなかった」と。なぜ、そんな愚かなことをほぼ1ヶ月努力を続けて、そんな時間があるなら、ほかにやるべきことがあっただろうと思う。これからも、どの作業が必要なのかを十分に考えて、マンパワーだって足りないわけだし、時間だって足りない。本当にやらなければならない作業に、力を集中させてほしい。

(岩上氏)この間に、そういう迂回作業のような今やらなくていいようなことにトライして、その為に水を注ぎ、その水が漏れ、汚染水が大量にあふれ、外海に放射性物質がどんどん放出された。一体その総量というのは、どのくらいになるかもはっきりわからない。でも、昨日の時点でこれまでの放射性物質の総量について、保安院が解析結果を出してきた。全く従来と違う数字で、77万テラベクレルと言った。僕らはテラベクレルと言われても全然わからないが、そんな簡単に倍にしてよいものか?あまりにもあっけないのと、数字の単位が、実感としてわからないので、これはどの程度の放出量なのか、そしてどれほど危険なものなのか、そして、なぜ急にこんなに数字が変わってしまうのか。解説してほしい。

(小出氏)これまでは37万テラベクレル、或いは安全委員会のほうは63万テラベクレル、それは大気中に放出された放射性物質の量、ヨウ素とセシウムの量。ある意味数字の操作をした上での評価だったと思う。確か、昨日保安院が言い出したのは、あふれている汚染水の中に入っている放射性物質も加算した数値だと思う。今回の福島の事故の場合、事故当初に爆発が1~4号機で起きたので、そのときに大量の放射性物質が大気中に放出された。それが、37万とか63万とかいう数字に結びついている。それが爆発現象が収まった後に、猛烈な汚染水がどんどん敷地内に溜まってきた。その処理ができないまま、もうすぐあふれ出してしまう事態に直面している。・・・作業を誤ると、敷地に溜まっている放射性物質が、大量に海へ流れ出てしまいかねないその瀬戸際に今立たされている。それが、爆発現象で大気中に出された放射性物質よりも、もっと多いものが今海へ流れ出そうとしている。そういう状況。

(岩上氏)なるほど。この2倍になったというのは、水中の放射性物質の数値が加わったと。そういう根拠があるもんだといっているのですね?

(小出氏)たぶんそうだと思う。

(岩上氏)先のほどの先生の話の中で、「水棺」はやっても無駄で、圧力容器にも格納容器にも穴が開いている、したがって水棺事態はできないことはわかっていたはずだと。わかっていたはずなのに、その作業を繰り返したのは、本当に彼らがわかっていなかったのか、それとも愚かだったのか、それとも何か政治的な理由、或いは何か合理的でない理由によって、水棺のようなことをやって時間を稼ぐというか時間を浪費する必要性があったのか、一体どれだと思うか?

(小出氏)わかりません。私は政治のことはもともとわからない。政治の裏取引があったのかどうかはもとからわからないこと。所謂科学的、工学的な点で言うと、水棺ができないことは多分誰でもわかること。なのになぜ東電が水棺にこだわったのか問われると、私には理由がわからない。東電に聞いてもらうのがいいだろう。

(岩上氏)彼らが本当に知らなかった、彼らが今明らかにしていることが、「実際に何もわからなかったんだ」とそのまま額面どおり受け取れるのであれば、「しょうがないね、頭良くなかったんだね」の程度で済むのかもしれないが、(済まないのかもしれないが)問題は、政府もメルトダウンのことを判っていたということ。何度も私自身が官房長官会見で、直接枝野さんに質問した。事故翌日の12日の時点、午後2時の段階で、保安院の中村審議官という方が「溶けている可能性がある」と言っている。この方はすぐ更迭された。政府の中枢にいた人。東電からの情報を元に政府は状況を把握していたに違いない。それがゆえに話してしまったに違いない。そして、その人が更迭されたことによって、「これはマズイ、この人間の口をふさがなければならない」と思ったに違いない。このことの説明を求めた時に、官房長官は「その人の顔も名前も役職も何も知らない」と言った。しかし、その4日前の記者会見で「中村さんは保安院の広報をしている方ですね」と発言している。明らかに枝野さんは嘘をついている。嘘をついてとぼけた。ということは一連全部嘘であることは間違いない。(07:35-)
政府はメルトダウンを知っていた。そして、隠した。同じように穴が開いていたことも、かなり初期の段階で隠したという推測がつく。ということは、これは一体何のために嘘をついていて、しかも遠回りの対策をした。この責任たるや、重大で多くの人を被爆させてしまった。取り返しのつかないことをしてしまった。その責任はものすごく重いものだと思うのだが。なぜこのようなことが起きていると思うか?
(08:10-)
(小出氏)日本の国というのは、原子力発電所は絶対事故は起きないと言い続けてきた。原子炉がメルトダウンするなんて絶対無いと政府は言い続けてきた。実際にはメルトダウンが起きてしまった。できる限りそれを認めたくないという動機は彼らの中にもちろんあっただろう。できれば事故が小さく済んでほしいという願望もあっただろうし。

(岩上氏)起きてしまっているのに?

(小出氏)そうです。なんとか住民を混乱させないようにしたい。彼らが恐れているのは「パニック」。なんとかだましてであっても、パニックを回避して、彼らが扱いやすいような形で住民を動かそうと考えたのだろう。

(岩上氏)しかし、実際に住民には、十二分に避難させたりとか、行き過ぎたパターナリズムであろうと、詳しい説明はしていないが騙すようにではあるが、十二分に保護したというのであればともかく、実際には保護しきれなかった。その放射線の被曝は、実際逃げ遅れたといっていいのかわからないが、飯舘村をはじめ、浪江町や多くの強制避難の対象外になってしまった人たち、この人たちの被爆というのは、どの程度のものか?大変おおきな影響があると思うが、先生はどのように考えるか?

(小出氏)日本という国では普通の人々は1mSV以上被爆してはならないと、法律で決めている。日本の国家としては、人々をそれから守る責任を負っている。しかし、政府が絶対起きないと豪語していた事故が起きてしまい、1mSV/年の基準を適用することが全然できなくなった。そうすると、政府は「今は非常事態なので、20mSV/年までは我慢させる」と言い出した。それ以上の被爆は我慢させるとは、さすがに言えず、20mSV/年以上被爆してしまう地域は避難をさせると今言っている。でも、実際には、既に20mSVを超えて被爆してしまっている人たちがたくさん居る。もし事故直後にきちんと事故の状況を把握し、住民に知らせて対応していれば、例えばヨウ素剤の配布などの対応ができたはずなのに、一切の手当てをしないまま住民を被爆させてしまった。後から考えるとみんな知っていたという政府。
どこかで責任を取らさせたい。

(岩上氏)もう責任を取るべき時期だと思うのだが。この間そういうことが引き金になっての政局というものもあった。結果的には菅さん、首の皮一枚で残った形。でも居座るような形で政権の座にいる。政治には興味がないとおっしゃいますが、他方で委員会に呼ばれて発言されたり、政府が取るべき責任、役人や東電の幹部も含めて、どういう責任をとるべきか?

(小出氏)・・・わからないが、原子力という世界では、「何があっても絶対に責任は取らない」そういう世界だった。学者も含めて、誰一人責任をとらない。例えば1999年9月30日に茨城県の核燃料加工工場JCOで臨界事故が起きた。2人の労働者が大変悲惨な死を強いられた。一体その責任は誰が取ったのか。日本政府も、JCOの操業に判を押した原子力安全委員会も「すべては労働者が悪い、馬鹿な作業をしたからだ」と言って誰も責任をとらない。その後、美浜発電所で蒸気の配管が破れ、5人の労働者がまた悲惨な死を遂げている。その時も関西電力を含め、誰も責任を取らない。大変異常な世界。今回にしても絶対に事故を起こさないと言い続けてきた原発が事故を起こした。福島第一原発に運転許可を与えた原子力安全委員会の委員、もう年をとっていなくなっているかもしれないが、もし生きているなら刑務所に入れなければならないと思う。個人責任を取らせる。

(岩上氏)刑事責任を含めて?

(小出氏)含めて。個人個人に責任を取らせる。誰も責任を取らないで逃げてしまう異常な世界は認めるべきではない。

(岩上氏)許可を与えるのは政府と安全委員会?

(小出氏)そうです。安全委員会が内閣総理大臣に許可申請して、内閣総理大臣が判を押す。福島第一原発の判を押した総理大臣が誰なのかわからないが、その総理大臣がまだ生きているなら、刑務所にいれるべき。

(岩上氏)なるほど。話をちょっと戻します。3つの嘘がばれたと申し上げた。そのうちの三つ目は、津波が事故のすべてであるというプロパガンダが延々なされてきたが、これはものすごい嘘で地震動であったというが、この地震動とはどういうことか、解説願う。

(小出氏)地震でこの間壊れたと言われたのは、高圧注水系という緊急炉心冷却系の一部。それを動かし始めた途端、原子炉の圧力が下がってしまった。つまりその配管が破れていたことが、その時点で判っていた。高圧注水系の配管は原子炉建屋の中にあるため、津波でやられるわけがない。それが壊れていたということは、地震でやられたということ。そんなことはそれを待つまでもなく判っていた。例えば2号機のS/C(圧力抑制室)と呼ばれる格納容器の一部で水素爆発が起きた。しかし、格納容器の中は窒素で満たされているため、格納容器の中で水素爆発が起こることは、原理的にありえない。なぜ水素爆発が起きたか。S/Cのところで既に損傷があって、その部分が外界とつながっていて、酸素がそこにあったから。外界から酸素が入ってきたのか、或いは格納容器内に充満していた水素が漏れたのか、どちらかは私にはわからないが、いずれにしても外界につながっていたということ。もちろん、S/Cも津波にやられるような場所にはないので、それも地震でやられている。重要な機器が地震で既にやられている。そのことは日本にとってとてつもなく大事なこと。世界の地震の1~2割は日本で起きるといわれるほど、日本は地震国。その地震国に既に54基もの原発がある。政府や電力会社は、「どんな地震があってもいついかなる時も原発は安全だから、いいんだ」と言い張ってきた。その原発が地震で壊れてしまったことはどうしても認めたくなかった。先日菅さんが浜岡原発を停止要請するということになったが、津波に対して弱いからという理由。2,3年経って防波堤ができれば、また運転再開、むしろそっちの含みのほうが強い。でも、一歩引いて考えればわかる。なぜ菅さんが浜岡に停止要請したか。浜岡原発は、東海地震の予想震源域のど真ん中にあるから。つまり地震が怖いということを菅さん自身も暗に認めている。世界中の地震学者が警告を発している。今回の福島の事故について、もちろん津波も悪いが、津波だけではなく、地震によってやられたということもしっかり心に留めておくことが必要。これから日本中にある原発をどうしていくか、という時に、今回の経験はどうしても活かさなければならない。
(19:55-)
(岩上氏)全国で6月11日に脱原発デモが行われる。こうした一般の方の声があることを、政府は可能な限り過小に評価し、できるなら黙殺したいと思ってきただろう。電力会社、財界もそうだし、メディアもそうだった。伝えようという努力を怠った。可能な限りこうした声を伝えていこうと思うが、全国各地に原発はある。今福島の位置から遠い・誓いはあるが、潜在的にはあらゆる人がこの危険に見舞われる可能性がある。とはいえ、先生から見て、どこが一番危険か、濃淡あるか?一つ残らず危険か?

(小出氏)私は今回の福島の事故が起きる前は、世界で一番危ない原発は浜岡だと言い続けてきた。福島で事故が起きた。私の言っていたことは嘘だった、誤りだった。
もうあんまり言いたくない。これからも浜岡が一番あぶないと実は思っているが、それを言ったとしても当たらないかもしれない。今度は若狭湾かもしれない。居方原発の証人にもなったが、居方で起きるかもしれない。起こってみるまではわからない。覚悟しなければならない。

(岩上氏)なるほど。危険度ランキングはつけられない?どれも危険?

(小出氏)潜在的にはどれも同じ危険を抱えている。それがいろんな原発ごとに差異と固有のものはあるが、実際の事故として現れるのに直結するわけではない。やはり、「起きたらおしまい」。どこがどれだけ危険かとはいえない。今回の事故後、マスコミによく危険度ランキングをつけてと言われるが、申し訳ないがわからない。今までは浜岡が一番危ないと言ってきたが、それすら当たらなかった。事故は起こるまでわからないと思ったほうがいいと説明してきた。
(23:30-)
(岩上氏)なるほど。ここまでの間、急に政府や東電が隠してきたことを急に認めだしてきたと話してきたが、認めざるをえなくなったには、相応の理由があると思う。しかし私には何が理由かわからない。タイミング的にはIAEAの査察があり、その報告書が出る前、そしてG8の前だった。このタイミングが気になる。先生から見て、IAEAの査察は日本の政府、東電にとってどのような影響を与えた?またIAEAはどのような組織か?

(小出氏)IAEAは原子力を推進するための中心組織。事故が起きた時には小さくみせようとする。今IAEAの事務局長は日本人の天野さんがやっているので、日本の原子力をなんとか救済したいと思いながら来ているだろう。日本政府としても福島原発の事故をできるだけ小さく思わせたいと思っているだろうし、IAEAもそれに呼応して事故を小さくみせたいと思っているだろう。IAEAは一応の調査をして、会見をした時には「日本政府は実にまともな対応をした」という発言を残している。これから一体どんな報告書を書いてくれるのか、半ば楽しみでもある。全くのインチキを書いたら、国際的な信用を失うが、日本政府と恐らく何がしかの打ち合わせをしながら、どういう幕引きができるかということを考えながら言ったんだと思う。

(岩上氏)質問の前段の繰り返しになるが、IAEAの査察がある。そこである程度の事故の概況を表に出さなければいけない。国内向けには、嘘をつき放題だった政府と東電だが、IAEAという機関を前にして、国際社会を相手にする際には、メルトダウンのことも、大きな穴が開いていることも、地震動によって破壊されたことも、明らかにしなければならなくなった。それで慌てて明らかにしたとは考えられないか?

(小出氏)まぁ隠すことはいずれにしてもできない。どのタイミングでなるべくショックを与えないその事実を流すかということ。もし、東電が1号機について、水位計を調整した結果、炉心に水がないという説明が事実を表しているなら、今までやってきたロードマップも全く意味がなくなってしまう。ある段階でそれは認めざるを得ない。それをIAEAの査察のタイミングにあわせたという可能性はあるだろう。

へ続きます。