5月31日に放送された後藤先生の水蒸気爆発のメカニズムについての解説を見ることが出来ました。文系の私でも、イメージはつかめたと思っています。

2011/5/31 CNIC News 後藤政志氏
http://www.ustream.tv/recorded/15075260 (42:14)

究極の選択」の部分、恐ろしいです。
もし、3月12日13日の時点でメルトダウンがわかっていたら、水蒸気爆発の可能性と、溶融物を海水で冷やすこと、あなたならどちらを選びますか?

そんな選択したくないです。

やっぱり原発はいらない。

以下、主な内容を書き出しました。時間のない方はどうぞご参考になさってください。

<澤田さんからの挨拶>
福島第一の状況だが、結局こういう作業が高線量の場所で行われている。

250mSV以上の被爆が確認された作業員が2名出てしまった。現場は相当厳しいだろう。安定ヨウ素剤を3月13日1回飲んだ後は、一切飲んでいなかったということで、被爆管理の点で非常によろしくない。スケジュールを進めようとすると大変な被爆労働者が出てきてしまう。原発労働者の被爆管理をしっかり進めてほしい。

【後藤先生から水蒸気爆発について解説】 (03:10-)
何度か爆発的現象を説明したが、何回か質問を受けていたので、解説する。
水素の場合は、5%内外になると一緒に水素と酸素があり、着火源があれば燃焼する。
水蒸気爆発は、少しわかりにくい。
水蒸気爆発については、あまりよくわからなかった。私の知る限りで解説する。

『蒸気爆発の科学-原子力安全から火山噴火まで-』/高島武雄、飯田嘉宏著(ポピュラーサイエンス)の内容をもとに解説する。
中身はほぼ学術論文の内容。私も全部は理解できていない。
水蒸気爆発=蒸気爆発で同意語として扱う。

炉心が解けて、溶融物(デブリ)が圧力容器の下部にたまる。
水蒸気爆発は、高温の液体と低温の液体が接触することによって起こる。
さまざまな条件がある。
格納容器にデブリが落ちた場合、格納容器下部に水がたまっていて、落ちた瞬間に水蒸気爆発が起こる、もしくは、先にデブリが格納容器下部に落ちていて、後から冷却水が落ち接触して水蒸気爆発が起こるなど。
大規模な爆発が起きた場合は、圧力容器や格納容器が大破する懸念がある。
現在の温度はよくわからないところがあるので、今から説明するメカニズムを理解した上で、状況をどう見るかという話。

火山で溶岩が水と接触した際に、水蒸気爆発が起きる。
これは不確定性が大きい。

【本から引用・解説】 (08:30-)
実験:低温の水プールに高温のアルミニウム(溶けたた金属)を落とすと、高温の金属の周りには蒸気の膜ができる。水槽の底と金属の間にも水が閉じ込められ、その上に蒸気の膜ができる。つまり溶けた金属の上下に蒸気膜ができる。閉じ込められた水の層があるきっかけで爆発する。瞬間的に水が蒸発する。

水から蒸気に変化するとき、容積にすると1600倍に膨れ上がる。1㎥が1600㎥に膨れ上がる。
いろいろな条件があるので、起きたり起きなかったりする。

【水蒸気爆発の実験から判ってきたこと】 (11:50-)
①爆発の発生は確立現象
→温度や高温液体の量など実験条件が同じでも、爆発は起こったり起こらなかったりする。
②高温液体を入れた後、水槽をたたいたり、水槽底部に針山を置いたりして外部から刺激すると爆発しやすくなる
③高温液体と低温液体の温度に爆発の範囲があること、低温液体の温度が低いと爆発が起こりやすく、沸点に近いほど爆発しにくくなる。高温液体が、冷やされて固体になってしまう温度では、爆発しない。(高温と低温の温度差が重要
高温の液体を高い所から注ぐと爆発が起こりにくい
⑤高温液体を入れた直後より、少し時間をおいて爆発することが多い
⑥雰囲気の圧力が高いほど、爆発は起こりにくい。
→これは深い海底ではマグマ水蒸気が起こらないことと対応している。
たとえば、圧力容器の中に高圧の状態で溶融物があった場合は、爆発しにくくなる。今回は圧力容器が損傷し、圧力が落ちている状態でメルトダウンしているので、水蒸気爆発の可能性が高い。しかし、現在は温度が低くなっている可能性があるので、蒸気爆発の危険性は低いかもしれない。はっきりしない。3月12日、13日ころ炉心溶融が起こった直後は極めて可能性が高かったのではないか。確率の問題なので、起こったり起こらなかったりする。起こる可能性もある。圧力容器、格納容器が吹っ飛んでしまっていたら、チェルノブイリ以上のレベルの問題になるだろう。決して非現実的ではないところが怖い。
⑦爆発が起こる時は、高温液体がおびただしい数の直径1mm以下の細かい粒子になる。これを細粒化という。
→溶融物が落ちると、小さな粒になって蒸気爆発が起こる。

【殻理論(カクリロン)】 (18:25-)
溶融した金属の周りに水分があり、薄い膜ができている。
→表面だけ固まった金属に亀裂が生じ、そこに生じた空洞へ入り込んだ水が加熱され固まった部分を吹き飛ばす"殻理論"

【蒸気爆発のイメージとメカニズム】 (19:40-)
(a)(b)高温の液体が低温の液体に落ちてくると、低温液体の中で高温液体が分散し、薄い水蒸気の膜で覆われる。(=初期の混合状態)
(c)(d)ひとつ爆発を起こすきっかけがあると、現象の伝播(連鎖反応)が起きて蒸気膜が壊れ、高温液体が水に触れ、1600倍に膨れ上がり、大規模蒸気爆発へ拡大する。これが0.01~0.1秒のオーダーで発生する。
 ・現象の主要な部分は0.01~0.1秒
 ・デトネーション(衝撃波)の発生でフィードバックが起こり連鎖する。
 ・2液体間の温度差がキーパラメータとなる(温度差1000℃くらい)

この研究は昔からされているが、非常に難しい。個々の現象の説明がしきれていない。

【蒸気膜の崩壊過程の様子】 (25:50-)
写真を紹介して、解説(水にすずを落とした時の実験)

系の圧力と蒸気膜を破壊する圧力値(トリガー圧力値)の関係(27:15-)
トリガーはきっかけ。
グラフを使って説明。

5膜の蒸気爆発の様子を毎秒約5000コマで高速度撮影した写真で解説
・周囲が連鎖反応している様子が見て取れる。100分の4秒で起こった爆発。

【今回、水蒸気爆発が起きなかったのは偶然か?】 (29:10-)
いろいろな条件を考えると、現時点では起こりやすいとは言えない。しかし全く起こらないとは言えない。
少なくとも原子炉内特に格納容器内での蒸気爆発の可能性は残されている。
温度や圧力の条件による。
燃料プールの水深は浅いほうが蒸気爆発しやすいと言われている。プールに溶融物を落とすほうが爆発しやすいとも言われている。

デブリは冷却しなければならないので、水をいれざるを得ない。
すると水蒸気爆発を起こす可能性が出てくる。しかしその条件がわかっていない。「この条件だったら爆発しない」と言い切れない。
→これが「究極の選択」の意味

海水注入の際も、もし既にメルトダウンがわかっていた場合、海水を入れるか入れないか、水蒸気爆発の可能性を考えると究極の選択。どちらを選択するか?

水蒸気爆発は、科学的にも未解明でコントロールしにくい。

そのことは甘く見てはいけない。
コントロールできると言ったりすることはまやかし。
常に「起こりにくいが起こる可能性がある」状態。
まるでロシアンルーレットのよう。
そんな博打のようなことを原発で出来ない。

これを非科学的と言うなら、絶対に水蒸気爆発が起こらない状態で冷やしてください。それができるなら、シビアアクシデントでもコントロールできる可能性があると納得する。

シビアアクシデントは、科学的にコントロールできないのが現実。
炉心溶融を起こさないこと。これに尽きる。

今後、地震と津波が起きても非常用ディーゼルを使えるようにすれば炉心溶融が起きないといっている。

事故のシークエンスとシビアアクシデントの話は後日改めて。

津波に対する対策を打ったとしても、他のシークエンスが出てくる。そのあらゆる経路すべてに対策ができるか?
→明らかにできない!
 それがスリーマイル島の事故を思い出せばわかる。

今回も、いろんなところでミスがあっただろう。
作業者本人を責めても意味がない。
パラメータがない中なんとか人間が作業するのだから。
言った言わないという低レベルの話ではない。

こういう事態が起こった時点で、そういう運命を背負うことになる。
間違っても誰も非難できない。

物理現象そのものに問題があると考えるのが妥当。
その中にたまたま人間が関与していくというイメージ。

今後は、シビアアクシデント全体や設計に関して広がりのある解説を考えている。

以上。



ちょっと疲れました。
でも、まだまだ頑張りますよ!!!

失礼します。