残念ながら「強制基礎という形でしか基礎できなかった」という日本のシステム、検察判断の限界が現れていると言わざるを得ません。しかしながら、起訴されたという事実を踏まえて、今後各電力会社の経営陣、原発担当者は『事故が起これば、個人でも起訴される』という現実を念頭に、本当に原発を今再稼働させる必要があるのかどうか、よーーーーっくお考えいただきたいものです

福島原発事故:東電旧経営陣3人、強制起訴へ

毎日新聞 2015年07月31日 14時15分(最終更新 07月31日 21時42分)

左から東京電力の勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長
左から東京電力の勝俣恒久元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長

 ◇検察審査会「業務上過失致死傷罪で起訴」と起訴議決公表

 2011年の東京電力福島第1原発事故を巡り、東京第5検察審査会は31日、東京地検が2度にわたって容疑不十分で不起訴とした東京電力の勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人を、業務上過失致死傷罪で起訴すべきだとする「起訴議決」を公表した。第5検審は「3人は『万が一にも』発生する事故に備える責務があり、大津波による過酷事故発生を予見できた。事故を回避するため原発の運転停止を含めた措置を講じるべきだった」と指摘した。3人は今後、裁判所が指定する検察官役の弁護士によって強制起訴される。

 議決は17日付。他に武黒一郎(69)、武藤栄(65)の両元副社長が起訴議決を受けた。第5検審は、3人が事故を未然に防止する注意義務を怠り、原発建屋でがれきに接触するなどした東電関係者と自衛官13人を負傷させ、福島県大熊町の双葉病院から避難をした入院患者44人を死亡させたと認定した。

 三陸沖から房総沖で大地震が起きるとした政府の地震研究機関の予測に基づき、東電は08年、想定される津波の高さを最大15.7メートルと試算した。こうした経緯から、3人が巨大津波の発生を事前に予測できたか、予測を踏まえて対策を取れば事故を回避できたかの2点が焦点となった。

 第5検審は、3人が試算の報告を受けていた可能性が高いとした上で「原発の安全対策に高度な知識を持つ者として『万が一にも』『まれではあるが』発生する事故に備える責務があり、放射性物質を大量排出する過酷事故発生を予測できた」と指摘。「試算を取り入れ、安全策を検討する間だけでも運転停止を含めた対策を講じれば事故を回避できた」と述べた。

 その上で、検察の判断を「原発事故の被害の甚大さを考えると、何の説得力も感じられない」と批判。「経済合理性を優先させ、災害の可能性に目をつぶって効果的な対策を講じなかった3人に、適正な法的評価を下すべきだ」とした。

 事故後、旧経営陣や事故対応に当たった政府関係者ら計42人が告訴・告発されたが全員不起訴となった。被災者らが審査を申し立て、第5検審は昨年7月に3人を「起訴相当」と議決。地検が今年1月に再び不起訴としたため第2段階の審査を行っていた。3人の公判は裁判員裁判の対象とはならない。【山下俊輔】

 ◇東電の広瀬社長「コメントは差し控えたい」

 東京電力の広瀬直己社長は31日、東京都内で記者団に対して、「検察の下した処分に対して検察審査会が判断したことなので、私どもからコメントをすることは差し控えたい。福島第1原発の廃炉措置、汚染水対策、原子力損害賠償、除染、福島復興に向けた取り組みを全社一丸になってやっていきたい」と硬い表情で述べた。【安藤大介】

 ◇東京第5検察審査会の議決骨子

▽旧経営陣3人は、津波による事故が「万が一にも」「まれではあるが」発生した場合に備える責務があり、過酷事故の発生が予見できた

▽適切な安全対策を検討している間だけでも運転停止を含めた津波対策を講じていれば、事故は回避できた

▽事故の被害者は、がれきに接触するなどして負傷した東電関係者・自衛官13人と、双葉病院から避難して死亡した入院患者44人

 ◇福島第1原発事故

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波で、原子炉の冷却用ポンプや非常用のディーゼル発電機が水没。電源を喪失し冷却機能を失った1〜3号機は炉心溶融(メルトダウン)し、格納容器の破損や建屋の水素爆発で大量の放射性物質が飛散した。福島県の12市町村が避難区域に指定された。国際事故評価尺度で、チェルノブイリ原発事故と並ぶ「レベル7」と評価されている。
http://mainichi.jp/select/news/20150731k0000e040280000c.html